2015 Fiscal Year Annual Research Report
歩行障害を示す二分脊椎モデル動物における後肢運動機能障害の病態に関する基礎的研究
Project/Area Number |
25462774
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
樅木 勝巳 岡山大学, 自然生命科学研究支援センター, 教授 (70304615)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平山 晴子 岡山大学, 自然生命科学研究支援センター, 助教 (40635257)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 二分脊椎症 / モデル動物 / 歩行障害 / 病態解析 / 脊髄奇形 / 発生異常 / 運動神経細胞 / 運動機能障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
椎弓の欠損を主徴とする非致死性脊髄奇形である二分脊椎症は,主に椎弓欠損のみの潜在性型と椎弓欠損に髄膜あるいは脊髄と髄膜の両方が巻き込まれる嚢胞性型とに大別される。一般に潜在性型は無症状であるが,嚢抱性型は種々の程度の神経障害を示す。これまでの二分脊椎症に関連する研究では,この神経障害の病態は臨床知見に基づいたものがほとんどであり,実験に基づく知見は臨床知見に比べて少ない。ゆえに,その詳細な病態については不明な点が未だ多く残されている。我々はこれまでに二分脊椎症で見られる神経障害の病態を詳細に解析することを目的として,ヒト二分脊椎症患者に似た後肢運動障害を示す二分脊椎モデル動物を開発,奇形領域の神経細胞の発生異常や神経伝導路形成異常が二分脊椎症に併発する歩行障害を誘発する可能性を示してきた。 平成27年度では,計画に基づき歩行障害を示す本モデル動物における運動神経細胞の脊髄内の分布を解析するために、実施計画に則り二分脊椎ニワトリ胚を作製、後肢骨格筋群の腹背が明確に区分できるようになる7日胚(処置後4日目)の後肢骨格筋群筋腹に逆行性神経軸索トレーサー分子を注入し、2日目にサンプリングを実施した。二分脊椎ヒヨコの逆行性トレーサー実験の結果、脊髄運動神経の神経支配を受けていない後肢骨格筋群は存在せず、すべての骨格筋が対象群と同様の領域に存在する脊髄運動神経細胞による支配を受けている可能性が示唆された。この結果はこれまでの本モデルを用いた解析結果と一致しており、二分脊椎症に伴って現出する歩行障害は脊髄の破壊が一次的な原因ではなく脊髄の発生障害に伴う脊髄内の神経回路網の形成不全によって誘導される可能性が強く示唆される。
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