2013 Fiscal Year Research-status Report
Hepatocyte growth factorによるリンパ浮腫軽減作用の研究
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25462793
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
橋本 一郎 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (70314870)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安倍 吉郎 徳島大学, 大学病院, 特任助教 (40467808)
高久 暢 徳島大学, 大学病院, 医員 (40598893)
森本 篤志 徳島大学, 大学病院, 特任助教 (70596296)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | リンパ浮腫 / 肝細胞増殖因子 |
Research Abstract |
四肢のリンパ浮腫は難治性であり、保存的治療方法や外科的治療方法では、完全な治癒の状態に至ることは現在のところ難しい。HGF(Hepatocyte growth factor:肝細胞増殖因子)は肝細胞を増殖する因子であるが肝細胞だけではなく、さまざまな種類の細胞に対して増殖活性や形態形成活性を有することが知られており、血管新生やリンパ管新生にも重要な役割を果たしていることが明らかにされている。この研究では家兎耳介リンパ浮腫モデルを用いてHGFがリンパ浮腫に対して改善効果があるかどうかを検討する。 25年度の研究では家兎耳介リンパ浮腫モデルの作成を行った。日本白色家兎を使用し、 右耳をコントロールとし、左耳にリンパ浮腫モデルを作成した。 モデル作成後、1週間・2週間・4週間で耳介の厚みを測定し、組織採取を行った。耳介の厚さの測定は、決められた3部位で耳介全層の厚みを測定した。組織学的検討として、同3部位から耳介組織を採取し、HE染色を行った。耳介遠位の2か所にインジゴカルミン(4mg/ml, 0.2cc)を皮内注射し耳介基部中央にある集合リンパ管を同定した。表在リンパ管を切除するために耳介基部の皮膚を3㎝幅で切除し、耳介基部の集合リンパ管と血管束を温存した。血管束・リンパ管の乾燥予防に軟骨膜で被覆し保護し、皮膚欠損部は創傷被覆材で保護した。 本研究では術後7日目・14日目・28日目と浮腫は増強しており耳介遠位の壊死を来したモデルも認めたことから、浮腫の程度はやや強いと考えられた。組織学的所見では、 術後4週の耳介遠位組織では、表皮の肥厚・膠原線維の増生・膠原線維束間の間隙形成・リンパ管の拡張といった浮腫の特徴を認めた。今回の作成方法でリンパ浮腫の作成には成功したが、今回の観察期間では耳介の近位・中間での上記の浮腫の特徴が一致せず、さらなる観察期間が必要と思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
家兎耳介リンパ浮腫モデルの作成に関して現在のところ2つの問題がある。1つは予想より浮腫が強く、耳介の一部が壊死することである。2つ目は耳介の近位、中間位、遠位での組織学的に浮腫の所見が一致しないことである。早急にリンパ浮腫モデルを確立して、HGF 投与の実験へと移行する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の家兎耳介リンパ浮腫モデルの個体数を増加して、浮腫の安定性、耳介の壊死率、長期の組織学的な観察を行う。その結果により、現行のモデルが使用できるかどうかを検討する。 薬剤投与によるリンパ浮腫治療モデル作成には、中等度の持続するリンパ浮腫モデル作成が理想である。別のモデルが必要な場合には、耳介のリンパ管の位置を再検討して、切除する表在リンパ管の範囲もさらに検討する必要がある。 さらにHGFの投与部位や投与量を変えながら浮腫軽減効果が得られるかの検討に入りたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
使用予定であった特殊免疫染色のための抗体の購入が必要にならかかったため。また、実験動物の購入も予定よりも少なくなったため。 本年度は染色のための抗体が必要になる見込みである。さらに家兎の購入も増える予定である。
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Research Products
(1 results)