2014 Fiscal Year Research-status Report
PKRはインフラマソームを介して歯周病の進行を制御するか?
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25462918
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
吉田 賀弥 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 講師 (60363157)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡村 裕彦 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (20380024)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | インフラマソーム / PKR / 破骨細胞活性化 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに、SNAPタグしたP. gingivalis (SNAP-P. g.)を骨芽細胞に感染させる系を確立し、SNAP-P .g. によりPKRの発現やリン酸化が亢進されることを明らかにした。本年度はSNAP-P. g.感染によるPKRの活性化が、インフラマソームの動態や骨吸収能に影響するかを中心に、研究を進めた。 培養骨芽細胞実験系: 実験計画2(誘導されたPKRがインフラマソームを活性化するか?)についてインフラマソームは活性化するとpro-caspase-1を切断してcaspase-1 (p10)を産生し、細胞外へ分泌する。そこで、SNAP-P. g.を感染させた骨芽細胞内及び培養上清中のcaspase-1の発現変化をウエスタンブロット法で解析し、SNAP-P. g.感染12時間後からpro-caspase-1は切断され、細胞外へと分泌されることが判明した。また、インフラマソームが活性化すると、IL-1の産生が亢進する報告がある。そこで、SNAP-P. g.を感染させた骨芽細胞における培養上清中のIL-1量を、ELISAで測定した。しかし、実施した測定条件では培養上清中のIL-1濃度は著しく低く、SNAP-P. g.感染による変化は検出できなかった。以上より、SNAP-P. g.感染がインフラマソームを活性化しているかについては、さらなる検討が必要であると判明した。 実験計画3(PKRはインフラマソームを活性化し骨吸収を制御するか?)について SNAP-P. g.感染によりPKRが活性化した状態では、骨吸収を促進するサイトカインの発現が亢進していた。実際にこのサイトカインが破骨細胞分化を誘導するかを検討した。SNAP-P. g.感染させた骨芽細胞の培養上清をRaw細胞に添加し、破骨細胞形成能をTRAP染色にて判定した。現在、結果の再現性や実験条件を確認、検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の実験予定に沿って、実験が進行している。①SNAP-P. g.感染によるPKRの活性化は26年度の実験系においても再現性が確認されており、新しい知見として論文発表できる。②インフラマソーム活性化について、複数の実験方法で検討した。一部の方法においてインフラマソームがSNAP-P. g.感染により活性化されることが証明された。①②の結果は、今回の研究仮説の最も重要な部分である。これらが証明されたことにより、以降の実験計画を順調に進めることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
培養骨芽細胞実験系: 実験計画2(誘導されたPKRがインフラマソームを活性化するか?)について。26年度はインフラマソーム活性化の指標として、caspase-1 切断とIL-1産生について実験を進めた。現時点では、SNAP-P. g.感染によるIL-1産生の変化は認められなかったが、抗体価を検討してELISAの検出感度を上げれば、新たな知見が得られる可能性があるので、27年度はELISAの実験条件を検討しなおす。また細胞での免疫染色法でインフラマソームの細胞局在変化の検討に着手し、PKRがインフラマソームを活性化するか結論を出す。 実験計画3(PKRはインフラマソームを活性化し骨吸収を制御するか?)について。26年度は、PKR shRNAした骨芽細胞と野生型骨芽細胞の各培養上清を、Raw細胞に添加し、破骨細胞形成能をTRAP染色にて判定したが、結果の再現性に疑問が生じた。これを解決するために、Raw細胞の播種濃度や分化培地の条件を更に詳細に検討する。必要に応じて,マウス長骨由来の骨髄細胞を使用するなど、早期に複数の実験系で対応する。
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Causes of Carryover |
マウスを用いた実験系の計画が長期に及び、26年度末や27年度交付前の期間においても実験動物の飼料代や共通実験施設使用料を継続的に支出する必要があったために、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
26年度末や27年度交付前の期間において、実験動物の飼料代や共通実験施設使用料に支出する。
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Research Products
(3 results)