2013 Fiscal Year Research-status Report
石灰化促進作用を有する機能性フィラー配合レジン系覆髄材の開発と直接覆髄への応用
Project/Area Number |
25462971
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
新海 航一 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 教授 (90147843)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 雅也 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 講師 (10409237)
平 賢久 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 助教 (10610272)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | S-PRGフィラー / 機能性フィラー / 石灰化促進作用 / イオン溶出 / レジン系覆髄材 / 象牙質接着強さ / 微小引張接着試験 |
Research Abstract |
S-PRGフィラーは、SrとBのイオンを徐放する性質があり、これらは石灰化促進作用を有することから、S-PRGフィラーを配合した接着性レジンを直接覆髄材として応用できる可能性がある。そこで、松風社に委託しS-PRGフィラーを配合したワンステップセルフエッチアドヒーシブを新規レジン系覆髄材として開発し、S-PRGフィラー含有量の違いが象牙質接着強さに及ぼす影響について評価した。 ヒト抜去大臼歯の咬合面に平坦な象牙質面を形成した。S-PRGフィラーの含有量が異なる4種類のボンドA(0wt%:S-00A、13wt%:S-13A、27wt%:S-27A、40wt%:S-40A)とボンドBを各々混和して被着面に塗布した。20秒間放置後エアブローを行い、10秒間光照射を行った。コントロールとしてフルオロボンドシェイクワンを用いた。その後、ビューティフィル フロープラスF03とビューティフィルIIを積層充填した。接着試料を24時間保管後、接着界面の断面積が1 mm2となる角柱型ビームを作製した(n=20)。小型卓上試験機EZTest 500Nを用いて、クロスヘッドスピード0.5 mm/minで微小引張接着試験を行った。得られたデータは一元配置分散分析を行った後、Tukey法による多重比較検定で実験群間の有意差を検定した(p<0.05)。また、各試料の接着破壊様式を実体顕微鏡EZ4D(Leica)にて判定し、走査型電子顕微鏡S-800(Hitachi)を用いて接着界面を観察した。 試作レジンのなかでは、S-PRGフィラー含有量が最も多いS-40Aが最も高い接着強さを示した。一元配置分散分析では実験群間に有意差が認められ、多重比較検定の結果、S-13Aのみがコントロールより有意に低い象牙質接着強さ(p=0.012)を示し、S-13A以外の実験群の間には有意差がみられなかった(p>0.05)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、平成25年度は、新規レジン系覆髄材として開発したS-PRGフィラーの含有量が異なる4種類のセルフエッチアドヒーシブを光重合して試料を作製し、本年度各々の重合率と各種イオンの蒸留水中への溶出量を本学研究施設にて測定する予定であった。しかし、これらの測定は平成26年度に松風社附属の研究施設に赴いて松風社研究員の指導を仰ぎながら実施することに変更した。また、動物実験を平成26年度早期に実施することを前提に、修復システムの歯髄刺激と関連性の深い象牙質接着強さを前倒しして平成25年度に実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、まず最初に、試作覆髄材の直接覆髄効果について本学実験動物施設と本講座実験室にてラットを用いた動物実験を実施することを計画している。通法にて直接覆髄実験を進め、摘出した試料を脱灰する期間中に、松風社研究施設に赴いて研究員の指導を仰ぎながら各試作覆髄材の光重合体の重合率と各種イオンの蒸留水中への溶出量を測定する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度と平成26年度の研究計画の実施内容を入れ替えたため、当初予定の研究経費が大きく異なってしまった。すなわち、平成26年度実施予定の研究経費の方が平成25年度より少なかったため、余剰金が生じた。 平成26年度は平成25年度実施予定であった研究を遂行するため、交付金が不足する可能性がある。平成25年度の余剰金でその不足分を補填する予定である。
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