2015 Fiscal Year Research-status Report
サルコペニアによる摂食・嚥下機能低下の予防を目的とした電気的筋肉刺激装置の開発
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25463000
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
松山 美和 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 教授 (30253462)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松香 芳三 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 教授 (90243477)
山村 健介 新潟大学, 医歯学系, 教授 (90272822)
吉村 弘 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 教授 (90288845)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 摂食嚥下リハビリテーション / 嚥下機能低下 / サルコペニア / 電気的筋肉刺激装置 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終目的は嚥下関連筋および咀嚼筋を標的にした電気的筋肉刺激装置の開発である。以下の3ステップからなる。1.嚥下運動時の嚥下関連筋および咀嚼筋の筋活動量や活動パターンと、年齢による変化を明らかにする 2.嚥下関連筋および咀嚼筋を標的にした電気的筋肉刺激装置を試作し、応用できる刺激の大きさや周波数を探索する 3.適切な刺激の大きさや周波数、刺激パターンを試作器にプログラムし、装置使用前後の嚥下関連筋および咀嚼筋の筋活動の変化を明らかにする。 そのため、以下の研究計画を立案し遂行している。(1)嚥下関連筋および咀嚼筋の筋活動計測システムの構築 (2)嚥下運動時および咀嚼・嚥下運動時の関連筋の筋活動量と活動パターンの解析 (3)嚥下関連筋および咀嚼筋筋活動の年齢、性別による影響の検定 (4)嚥下関連筋および咀嚼筋を標的にした電気的筋肉刺激装置の試作 (5)試作装置使用前後の嚥下関連筋および咀嚼筋筋活動の変化の検定 (6)サルコペニアによる摂食・嚥下機能低下の予防を目的とした電気的筋肉刺激装置の完成 前年度の平成26年度までに、研究代表者と分担者による研究打合せを行い、当該研究に関連する学会や研究会に参加して情報収集を行った。倫理審査申請書類の内容変更を2度行い、平成26年7月末にようやく倫理審査委員会の承認を得て(承認番号2005)、筋活動計測システムを構築した。 平成27年度は、参加した関連学会や研究会で得た新規情報から、本研究の開発目的とする電気的刺激装置の類似装置がすでに海外で商品化されていることがわかり、研究内容・計画の再検討を行った。研究ステップ1と2は省略し、類似装置の基本情報を応用することにした。また、筋肉だけでなく唾液腺も刺激できるため、口腔乾燥の対処に応用できると考え、目的に追加した。オムロン㈱の協力を得て、ステップ3の臨床研究について倫理審査委員会の審査を受けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度である平成25年度に徳島大学病院臨床研究倫理審査委員会に本臨床研究を申請したが、2度にわたり内容の変更を勧告された。そのため、倫理審査委員会から承認が得られたのは、当初予定よりも約9か月遅れた平成26年7月末であった。その後、再度、研究代表者と分担者による打合せを行い、研究内容の一部修正および計画の一部変更などを行い、筋活動解析システムの構築として、研究分担者が保有する筋電計や顎運動計測システムを用いて、嚥下運動時の筋活動を詳細に計測できるよう解析システムを改変した。 しかし、平成27年度に参加した関連学会や研究会で得た新規情報から、本研究の開発目的とする電気的刺激装置の類似装置がすでに海外で商品化されていることがわかり、研究内容・計画の再検討を行った。類似装置の基本情報を試作器に応用できるので、研究ステップ1と2は省略できた。さらに、嚥下関連筋および咀嚼筋だけでなく、三大唾液腺も刺激できるため、口腔乾燥の対処にも応用できると考えられ、目的の一部に追加した。 以上の通り、研究の進捗状況は平成26年度末までは当初の計画よりも約9か月遅れていたが、平成27年度末までにはこの遅れをやや挽回することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の当初の計画概要は以下の通りであった。(1)嚥下関連筋および咀嚼筋の筋活動計測システムの構築 (2)嚥下運動時および咀嚼・嚥下運動時の関連筋の筋活動量と活動パターンの解析 (3)嚥下関連筋および咀嚼筋筋活動の年齢,性別による影響の検定 (4)嚥下関連筋および咀嚼筋を標的にした電気的筋肉刺激装置の試作 (5)試作装置使用前後の嚥下関連筋および咀嚼筋筋活動の変化の検定 (6)サルコペニアによる摂食・嚥下機能低下の予防を目的とした電気的筋肉刺激装置の完成 しかし,平成27年度に計画を途中変更した。筋電図解析による評価ではなく,より簡便な開口力計による舌骨上筋群筋力の評価に方針を変更し,上記の(2),(3)は実施を中止した。そして,本学産学連携センターを介してオムロン㈱の協力を取り付け,(4)を進めた。 28年度は前述の(5),(6)を継続し,研究を完了する予定である。現在,新たな内容で徳島大学病院臨床研究倫理委員会に申請中である。まず,40~50歳代の成年男女の20名を対象として,オムロン㈱社製,電気治療器 HV-F5200にて3部位(左右咬筋・耳下腺部,顎下部前・後方部)にパッドを貼付し,経皮的に15分間電気刺激を与え,介入終了後に主観的変化についてアンケートを行う。また,介入直前の安静時唾液量と介入直後の刺激唾液量,介入終了10分後の安静時唾液量を計量する。そして,この実験に引き続き,施設入所高齢者20名を対象として,同様の方法にて2か月の長期的介入を行い,介入前後の比較検討を行う。評価項目は介入終了10分後の安静時唾液量に加え,開口力(舌骨上筋群筋力)である。この成果を以て,本研究,サルコペニアによる摂食・嚥下機能低下の予防を目的とした電気的筋肉刺激装置を完成させる予定である。
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Causes of Carryover |
平成27年度に計画を途中変更した。筋電図解析による評価ではなく,より簡便な開口力計による舌骨上筋群筋力の評価に方針を変更し,計画概要(2)嚥下運動時および咀嚼・嚥下運動時の関連筋の筋活動量と活動パターンの解析と,(3)嚥下関連筋および咀嚼筋筋活動の年齢,性別による影響の検定 は実施を中止した。また,本学産学連携センターを介してオムロン㈱の協力を取り付けて,(4) 嚥下関連筋および咀嚼筋を標的にした電気的筋肉刺激装置の試作を進めた。 そのため,年度当初予定していた筋電図計測や解析に係る物品費や,被験者謝金,試作器の作成費などが生じず,使用額に差が生じたものである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度に計画を途中変更したため,平成28年度は開口力計測と安静時唾液計測に係る物品費や臨床研究保険料,人件費・謝金が生じる。さらに,成果発表のための旅費や論文掲載料の支出が考えられる。
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Research Products
(1 results)