2014 Fiscal Year Research-status Report
PCR発症リスク因子の解明とPTH(1-34)間歇投与による予防法の開発
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25463074
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
小林 正治 新潟大学, 医歯学系, 教授 (80195792)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
船山 昭典 新潟大学, 医歯学系, 助教 (80529686)
小島 拓 新潟大学, 医歯学系, 助教 (90515777)
三上 俊彦 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (90595745)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | PCR / 発症メカニズム / 下顎骨延長 / ラット実験モデル / マイクロCT / 骨密度 / 骨代謝マーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】PCRとは、下顎頭の著明な吸収像を特徴とする病態を指し、その発症には下顎頭部にかかる力学的負荷の量と負荷に対する骨強度が関与していると考えられる。本研究では、骨粗鬆症ラット下顎骨延長モデルを用いてPCR発症メカニズムを検索して発症予防法を開発するとともに、顎変形症患者を対象としてPCRの発症リスク因子を解明する。 【研究1】雄性Wistar系ラットを用い、生後5週より免疫抑制剤FK506(1mg/kg)を連日筋肉注射して骨粗鬆症ラットとし、10週齢時に下顎骨体部において骨切りと延長装置の装着を行い、5日後より1回0.175mmの牽引延長を1日2回施行し、10日間かけて合計3.5mmの牽引延長を行った。骨延長終了後1週目と3週目に屠殺し、μCT撮影後に標本とした。その結果、FK506投与ラットでは、未投与ラットに比べて下顎頭部の骨吸収が著明であった。 【研究2】顎変形症女性患者55名を対象とし、骨格性Ⅰ級(7名)、Ⅱ級(9名)、Ⅲ級(39名)の3つの群に分類して骨代謝マーカー(血清中OC,BAP,TRACP-5b,尿中DPD)を測定した。踵骨の骨質評価には定量的超音波測定装置を用いて超音波速度(SOS)と超音波減衰係数(BUA)を測定し、stiffness index(SI)を算出した。さらに、CT画像データから下顎骨関節突起の全体積(TV)、骨体積(BV)、骨密度(BV/TV)を測定した。その結果、BAPとTRACP-5bは下顎前突傾向を示す項目と正の相関を認めた。関節突起のTVとBV/TVでは、骨格性Ⅱ級群のTVがⅢ級群と比べ有意に小さく、骨格性Ⅱ級群のBV/TVがⅠ、Ⅲ級群に比べ有意に高かった。BV/TVと踵骨のSOS、BUAならびにSIとの間には有意な相関を認め、下顎頭の成長障害や退行性変化は下顎後退症の発現に関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動物実験施設の改修に伴い26年度前半は実験を行うことができなかったが、後半より実験を再開し、FK506投与ラットにおける下顎骨延長を行い、下顎頭部骨吸収についてマイクロCTならびに組織学的検索を行っている。一方、顎変形症患者の顎顔面形態と骨代謝マーカーとの関連で関連が認められ、顎顔面形態と骨密度や下顎頭の大きさとの間に関連が認められた。さらに、術後6か月経過時のデータを採取し、術前後の比較を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
FK506投与ラットにおける下顎骨延長実験を継続して匹数を増やし、PCR発症メカニズムを解明するとともに、PTH間歇投与による骨形成促進法を用いたPCR発症の予防法を検討していく。 顎変形症患者を対象とした研究では、術前と術後6か月経過時のデータを比較検討し、PCR発症リスク因子について検討を行っていく。
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Causes of Carryover |
26年度は、動物実験施設の改修に伴い前半に実験を行うことができなかったことから、27年度にその分を施行予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
FK506投与ラットにおける下顎骨延長実験を継続して匹数を増やし、PTH間歇投与による骨形成促進法を用いたPCR発症の予防法を検討していく。
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