2013 Fiscal Year Research-status Report
間葉系幹細胞を用いたシェーグレン症候群の新規治療モデルの開拓と分子調節機構解明
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25463084
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
伊藤 聡 岡山大学, 歯学部, 博士研究員 (00319972)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長塚 仁 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (70237535)
辻極 秀次 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (70335628)
玉村 亮 日本大学, 歯学部, 助教 (00403494)
片瀬 直樹 川崎医科大学, 医学部, 助教 (30566071)
水川 展吉 岡山大学, 大学病院, 講師 (00263608)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | シェーグレン症候群 / 唾液線 / 骨髄細胞 |
Research Abstract |
シェーグレン症候群は口腔乾燥症を主な症状とした全身性の自己免疫疾患であり、様々な口腔疾患の原因になることが知られている。しかしながらシェーグレン症候群に対しては有効な治療法が無いのが現状である。そこで本研究課題では、骨髄間葉系幹細胞を用いてシェーグレン症候群の自己免疫疾患を克服し、損傷した唾液腺組織を再生するシェーグレン症候群の新規治療モデルの開拓と分子調節機構解明を目的としている。 本年度研究では、シェーグレン症候群により損傷した唾液腺組織を、骨髄細胞を用いて再生可能であるかについて検討するため、GFPマウス由来骨髄細胞移植マウスを用いて、骨髄由来細胞の唾液腺組織構成細胞への分化能について組織学的に解析、検討を行った。その結果、移植骨髄細胞由来のGFP陽性細胞は、耳下腺および顎下腺の唾液腺組織に多数認められた。GFP陽性細胞の出現は粘液腺、漿液腺にかかわらず多数認められ、腺組織の違いによる陽性細胞率には大きな差を認めなかった。GFP陽性細胞の大多数は、豊かな胞体を有する細胞形態からマクロファージ等の炎症性細胞である可能性が考えられた。しかしながら腺房、血管を構成する一部の細胞にGFP陽性細胞が認められた。これらの細胞はその形態から明らかに炎症性細胞とは異なっており、粘液細胞や血管内皮もしくは血管周皮細胞と考えられた。これらのことから骨髄由来の細胞が唾液腺組織を構成する細胞へ分化する能力を有している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度研究では骨髄細胞を用いたシェーグレン症候群の新規治療モデルの開拓のため、GFPマウス由来骨髄細胞移植マウスを用いて、骨髄幹細胞の唾液腺組織構成細胞への分化能について組織学的に解析を行った。 本研究成果は、FACS等細胞生物学的な研究計画については計画どおり進行させることが出来なかったが、動物実験を用いた組織学的解析では当初予想していた研究データを順調にえることができ、研究計画で予定していた計画とほぼ同様の進行状況であった。以上のことから達成度は、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、GFP骨髄移植マウス唾液腺組織に認められたGFP陽性細胞の性格について詳細な検討を加えるべく、様々な特異的蛋白質についてを検討し、引き続き免疫組織学科学的解析を行う。またGFPマウス骨髄組織からの細胞の樹立実験を継続して行うと共に、シェーグレン症候群モデルマウスの作製、もしくは入手を行い、唾液腺組織の障害度について組織学的に解析を行い、本研究課題に適したマウスの選定を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が生じた理由としては、当初の実験計画では骨髄間葉系幹細胞の樹立と、樹立した細胞の細胞生物学的解析を予定していた。しかしながら当初の予定と異なり、安定した細胞の樹立が困難であった。そのため細胞の樹立、解析に使用する予定であった試薬等の購入資金に余剰が生じた。動物実験を用いた解析においては、予定していた蛋白質の免疫組織化学的解析に若干の遅れが生じたため、抗体、試薬等の購入資金に余剰が生じた。 既述の通り今後の研究では、GFP骨髄移植マウス唾液腺組織に認められたGFP陽性細胞の性格について詳細な解析を行うため、様々な特異的蛋白質の検出を予定している。またGFPマウス骨髄組織からの細胞の樹立実験を継続して行うと共に、シェーグレン症候群モデルマウスの作製、もしくは入手を行い、唾液腺組織の障害度について組織学的に解析を行い、本研究課題に適したマウスの選定を行う予定である。これらの研究には特異的蛋白質検出に関連した抗体、免疫組織学的解析に必要な試薬、実験動物等が必要であるため購入に使用する。
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Research Products
(4 results)