2013 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子改変マウスを用いたTMEM16E分子の機能の解明
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25463085
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
水田 邦子 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 助教 (40432679)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飛梅 圭 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 准教授 (40350037)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | TMEM16E / ノックアウトマウス / 顎骨骨幹異形成症 / 筋ジストロフィー |
Research Abstract |
顎骨骨幹異形成症(GDD)は顎骨と四肢長管骨の病変を特徴とする常染色体優性遺伝の骨系統疾患で,その疾患責任遺伝子として同定されたTMEM16E遺伝子は,さらに常染色体劣性遺伝する肢帯型筋ジストロフィー(LGMD2)および三好型遠位型筋ジストロフィー(MMD3)の原因であることを見出された.TMEM16E遺伝子産物の生化学的機能やその変異により引き起こされる病態の発症メカニズムはいまだ解明されていない.また,TMEM16は遺伝子ファミリー(TMEM16A~K)を形成しており,TMEM16A・TMEM16Bがカルシウム依存性Cl-チャンネルとして機能することが報告されている.TMEM16E遺伝子の機能解析の目的で作製したTMEM16Eノックアウトマウスには現在までのところ明らかな表現型が認められず,TMEM16ファミリー遺伝子の代償機能が予想されているが,in vitroの実験系で,TMEM16E遺伝子産物はカルシウム添加の有無にかかわらずクロライドチャンネル活性を認めず,他のTMEM16ファミリー遺伝子とは異なった独自の機能を持つことを証明した.さらに,TMEM16E蛋白は著しい不安定性を示す一方で,筋組織では蛋白安定化により分解を免れ発現することから, 筋特異的な生理機能が発揮される可能性を示してきた. TMEM16Eノックアウトマウスの全身臓器を病理組織学的に評価した結果,心室拡張および心室壁菲薄化を認め,TMEM16E変異を認める筋ジストロフィーの患者の臨床報告においても心症状を認める報告があることから,TMEM16E機能と病態との関連について更なる解析をすすめる予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
TMEM16Eタンパクの顕著な不安定性(特に内在性のTMEM16Eタンパク)から,その生理学的・生化学的解析の進行に遅れをとっている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は引き続き,ノックアウトマウスを用いたTMEM16Eの生理的機能解析を行うとともに,筋ジストロフィーの動物モデルマウス(mdxマウス・SJLマウス)の筋症状および硬組織と比較検討し,TMEM16Eとディスフェルリンが構成する細胞膜損傷修復システム欠損によるin vivoの表現型を確立する. TMEM16Eはディスフェルリンが制御するメンブレンパッチングと呼ばれる膜損傷修復機構に関与すると予測され,膜損傷に応答したTMEM16Eの局在動態を詳細に解析しTMEM16Eとディスフェルリンが構成するこの機構の分子メカニズムを知るためにin vivo解析で得られた成果を,in vitroに還元しながら,生化学的解析を行う.
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Research Products
(2 results)