2013 Fiscal Year Research-status Report
舌癌患者に対する間葉系幹細胞を用いた新たな舌再建法の確立
Project/Area Number |
25463091
|
Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
山下 佳雄 佐賀大学, 医学部, 准教授 (50322300)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 昌昭 佐賀大学, 医学部, 教授 (10145211)
野口 信宏 佐賀大学, 医学部, 客員研究員 (40284658)
下平 大治 佐賀大学, 医学部, 助教 (70594844)
檀上 敦 佐賀大学, 医学部, 講師 (80452712)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 間葉系幹細胞 / 筋組織 / 舌癌 / ナノスキャホールド / 温度感受性細胞シート |
Research Abstract |
われわれは患者本人より採取した間葉系幹細胞より筋肉組織を再生し、舌癌などで舌筋を欠損した患者へ使用する再生医療を目標としている。 まず使用する幹細胞について検討した。これは採取ルート、採取できる細胞数が今後の臨床応用に大きく問題となるからである。また採取した幹細胞がある一定期間の保存が可能であるかに関しても検討した。一般的な幹細胞としては骨髄幹細胞があげられるが、現在、われわれは歯髄幹細胞に注目している。幹細胞の増殖能や分化能を骨髄幹細胞と比較すると、明らかに歯髄幹細胞が高い。ただ骨髄に対して、歯髄では十分な細胞数が得られないこと、また採取の際、コンタミネーションを起こしやすいことがあり今後の課題点である。保存に関しては、約1年の凍結後であっても、ほぼ採取直後と変わりなく増殖能、分化能が維持できることを確認した。 研究目標であるGrowth factorの解析であるが、in vitro、ならびに動物への移植実験において、hIGF-1(Human Insulin-like Growth Factor-1)が有望であり研究を続けている。さらなる効率を上げるためのカクテルの材料となるfactorの解析を継続している。 Scaffordの開発に関しては、現在のところ、まだほとんど進んでいない。現在は、われわれが考案したマウス舌を特別な処理をしたものをScaffoldとして使用しており、マウスへの移植実験でヒト間葉系幹細胞がMyoD陽性の筋芽細胞類似の細胞へ分化することを確認している。 また別の研究目標として温度感受性細胞シートの3次元培養であるが、まだ十分な実験が行えていない。これは使用する細胞が十分な数に増やすのに時間がかかることが問題となっている。現在、シート上に播種する適切な細胞密度、どれくらい積層が可能なのか、またシート間の細胞間結合ができているのかを組織学的に検索することを検討している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
臨床応用が最終的な目標のため、サンプルはできるだけ当科の患者より調達している。しかしそのため実際に実験に使用可能なサンプル数には限りがある。特に現在、精力的に進めている歯髄幹細胞に関しては、得られる細胞数が少ないことがあげられる。さらに実際に採取した細胞が本当に幹細胞であるかを確認が必要なため培養等に日数がかかり、予定通りに実験が進んでいない。 またテクニカルな問題点としては、骨髄採取と比較すると口腔内よりサンプルを採取するためコンタミネーションの危険性が高い。コンタミが発覚するとすべての実験が中止せざるを得ない。臨床応用となると将来的にはマイコプラズマ等のチェックも必要となる。 よってヒトサンプルを回収しての実験系とは別個に、コマーシャルのヒト間葉系幹細胞を使用した実験を並行して行うようにしている。この細胞の使用であれば、これらの点は問題となならず、比較的計画通り実験を進められる。しかし実験中に細胞の形質転換など起こしている可能性も否定はできないため、できるだけヒトサンプルにこだわって実験を進めることとしている。
|
Strategy for Future Research Activity |
1)まず本実験に用いる間葉系幹細胞としては、今までの結果より歯髄幹細胞を使用することが望ましいと思われる。外来にて行われる智歯抜歯にて得られる歯髄を回収し、歯髄幹細胞を培養、採取する。また凍結保存しサンプルを増やす。臨床応用の観点から、今後は歯髄幹細胞の増殖能や分化能を妨げない血清フリーの培養液を検討する。症例は限られるが、可能であれば患者の血液を採取し、その血清を使用した培養も検討する。 2)一方で歯髄幹細胞の採取に関しては、細胞表面マーカーを用い、セルソーターによる採取を試みて純度を上げることを計画している。 3)温度感受性細胞シートに関する実験としては、まずはコマーシャルのヒト間葉系幹細胞を用い、適切な積層枚数や細胞密度を検討する。またそれら積層シートの組織標本を作製し、シート間での細胞接着がどうなっているのかを検討する。もし、順調に結果が得られるようならば、当初の目標のin vivoへの移植実験へ移行する。 4)3次元培養可能な新規のScaffordの開発に関しては、まだ手つかずである。こちらに関しては、われわれ単独での研究は困難と判断し、共同研究ができるパートナーを探すこととする。 5)Growth factorカクテルの解析に関しては、今の実験系を用いさらに進めていく。さらなる展開としてはDDSの効率をあげるために徐放性ジェル等の併用も現在進めている。
|
Research Products
(4 results)