2014 Fiscal Year Research-status Report
舌癌患者に対する間葉系幹細胞を用いた新たな舌再建法の確立
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25463091
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
山下 佳雄 佐賀大学, 医学部, 准教授 (50322300)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 昌昭 佐賀大学, 医学部, 教授 (10145211)
野口 信宏 佐賀大学, 医学部, 臨床協力医 (40284658)
下平 大治 佐賀大学, 医学部, 助教 (70594844)
檀上 敦 佐賀大学, 医学部, 講師 (80452712)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 筋組織 / 舌癌 / 温度感受性細胞シート |
Outline of Annual Research Achievements |
・動物実験において人工的な舌筋の欠損を作製し、そこへラベルした間葉系幹細胞を直接注入すると移植した細胞は局所(注入部位)に停滞するものもあるが、拡散して移動している細胞も確認された。末梢にまで遊走しているかに関しては、今後、さらに確認を取る必要がある。しかし舌筋内において幹細胞が遊走する可能性が判明した。ただ注入した細胞が局所にて生着することは確認できたが、舌筋内にてどのように変化(分化)しているかに関してはまだ判明していない。時間的要素も含め、さらなる検討が必要である。 ・また一方で、成長因子といった外来刺激の関与が予想される。今回、この幹細胞の注入に際してIGF-1分子を作用することで、筋細胞への分化促進を期待したが現時点では、この液性因子の直接的な効果は明らかとなっていない。ただ投与量、もしくは投与時期に関して再検討が必要である。 ・ヒト骨髄幹細胞の確保に関しては、まず予備実験として口腔外科手術時に下顎骨、もしくは腸骨から骨採取する際に、骨髄成分を確保し、これを培養し幹細胞様細胞を得た。歯髄幹細胞と比較し効率よく確保できることが確認された。現在、症例はすくないが凍結保存までできた。 ・確保した歯髄幹細胞ならびに骨髄幹細胞を同様に舌欠損マウスに直接注入すると、先同様に生着するが、一部、周囲への遊走も確認された。組織検査の結果のみでは両者に明らかな違いは確認されていない。ここへ先ほどのIGF-1投与を加え、その変化を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
・達成度は目標としたところには達成していない。遅れている純粋な理由としては、本年度の大半を実験に費やす時間が得られなかったためである。2014年10月に(公社)日本口腔外科学会総会・学術大会の準備委員長を務めたこともあり、継続した研究ができなかったことが大きな原因である。さらに他研究にも時間を必要とした。前年度、問題視していたコンタミの問題はある程度、解決できた。そのため昨年度より回収してきた実験に使用するヒト歯髄細胞のサンプルがある程度、蓄積でき凍結保存できた。さらに骨髄由来の間葉系幹細胞としてヒト下顎骨や腸骨からの採取もでき、歯髄細胞との比較実験も可能となった。平行してマイコプラズマ感染のチェックを行わなくてはならない。 ・細胞シートを用いた積層実験は、思いのほか培養に時間がかかること、また費用も掛かることも進行が遅れている原因の一つである。できるだけヒトより採取したサンプルでの実験にこだわっていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
遅れている実験項目を進めていく。 1)試みた血清フリーの培養液では、歯髄幹細胞の増殖能が低下する。さらに培養条件を変えて実験を行う。また今回、採取し確保できた骨髄幹細胞においても同様の実験を進める。 2)温度感受性細胞シートに関しては積層に関しては、順調に結果が得られている。しかしシート間での細胞接着に関する検証ができていない。組織標本を作製し免疫染色にて細胞接着分子の発現を確認する。 3)さらに積層した細胞シートをもちいた実験に関しては、実験動物を用いた移植実験を行っている。ヌードマウスの背側に皮膚欠損を生じさせ、そこに固定させる実験であるが、シートの強度がないことなどから改善が必要である。積層の度合いを増す、あるいは補強用に生体膜様のメンブレンを併用し、同実験を繰り返す。皮膚での結果がある程度、確認されたところで、実際の口腔内で舌欠損部への移植実験に取り掛かる。 4)筋細胞への分化に関して、IGF-1に精力的に実験を行ったがIn vivoの実験において予想を反する結果であった。投与量、投与タイミングの再検討を行う。前回も方策に掲げたが、DDSの効率アップのため徐放性ジェルの使用も再検討する。
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Research Products
(9 results)