2014 Fiscal Year Research-status Report
卵巣摘出動物における神経障害性疼痛の制御機構の解明
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25463134
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
杉村 光隆 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (90244954)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹羽 均 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (30218250)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | β-Estradiol / 卵巣摘出 / 三叉神経 / 侵害受容性疼痛 / c-Fos / ラット / カプサイシン / 更年期 |
Outline of Annual Research Achievements |
【緒言】昨年度は、OVXラットの角膜へのカプサイシン(Cap)投与による侵害受容性疼痛がEsによって増悪される可能性を明らかにした。今年度はその機序の一つとして、Esがカプサイシン受容体であるTRPV1、TRPV1と共役するANO1といったイオンチャネルの発現を亢進させる可能性を分子生物学的手法を用いて検討した。 【方法】1. E2投与OVXラットの作製;Esの侵害受容に対する修飾作用を検討するため、血中E2濃度の多寡を再現した動物モデルを作製した。11週齢、体重210~230 gの雌性SDラットを用いた。ペントバルビタールナトリウム(50 mg/kg,ip)麻酔下で、両側の卵巣を摘出した(Ovariectomy;OVX)。OVX 3週後を実験日とし、セサミオイル200 μlに溶解した低容量(4 μg, Low-Estradiol, LE群)または高容量(40 μg, High-Estradiol, HE群)のE2を実験2日前より2日間連続単回皮下投与した。 2. 分子生物学的検討(Real-time PCR);ペントバルビタールナトリウム(50mg/kg,ip)麻酔下で断頭後、三叉神経節を摘出した。摘出した組織からtotal RNAを抽出した。その後逆転写反応させ、cDNAを合成した。Real-time PCRは熱変性(95 ℃で2分)、増幅(95 ℃で2分、62 ℃で30秒、40サイクル)の反応条件で行い、TRPV1とANO1のmRNA量を相対定量解析し、β-actinで補正した。 【現時点での結果・考察】TRPV1、ANO1いずれのmRNA量もLE群と比べ、HE群の方が有意に増加していた。このことからEsがカプサイシン刺激による侵害受容性疼痛を増悪させる機序の一つとして、TRPV1やANO1といったイオンチャネルの発現を亢進させる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(理由) あと1年の研究期間で、確認実験を残すのみであり、概ね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
1)免疫染色やウエスタンブロッティングを用いてTRPV1,ANO1のタンパクレベルでの修飾作用を検討する。 2)三叉神経節のEs受容体にはEsα、Esβ、GPR30が存在することが知られているが、TRPV1とANO1の発現がいずれの受容体を介して修飾されるのかを検討する。方法として、細胞培養を行い、siRNAにより各受容体をノックダウンし、TRPV1とANO1のmRNAやタンパクの発現の違いを検討する。
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Causes of Carryover |
当初より進行が速く、H27年度分から前倒し支払を行ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
免疫染色やウエスタンブロッティングを用い、オーガンカルチャーや細胞培養におけるTRPV1、ANO1のmRNAやタンパクの発現がエストロゲンによってどのように修飾されるのかを検討する。
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