2015 Fiscal Year Annual Research Report
卵巣摘出動物における神経障害性疼痛の制御機構の解明
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25463134
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
杉村 光隆 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (90244954)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹羽 均 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (30218250)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 卵巣摘出ラット / エストロゲン / TRPV1 / Ano1 / c-Fos |
Outline of Annual Research Achievements |
1)卵巣摘出(OVX)ラットを用い、三叉神経第2枝部分結紮(pIONL)による神経障害性疼痛に対するβ-エストラジオール(E2)の効果を、von Frey testによる痛覚閾値の経時的な変化より解析した。その結果、pIONL後の急性炎症期(結紮後3~7日)ではovx+E2群で有意に閾値が低下した。一方、神経障害性疼痛と考えられる結紮後21~28日ではovx群で最も閾値が低下し、ovx+E2群では結紮後21~28日で閾値の上昇傾向を認めた。以上より、E2は急性炎症に対しては増悪因子として、また神経障害性疼痛に対しては寛解因子として作用すると考えられた。 2)1)の結果より、まずは急性炎症期におけるE2の作用機序を解明するために、行動学的・免疫組織学的検討を行った。動物モデルは卵巣摘出後、E2を2日間皮下投与(高容量群HE群:40μg、低容量群LE群:20μg)したラットを用いた。左側眼球へのカプサイシン(Cap)刺激により誘発される疼痛関連行動時間、三叉神経脊髄路核でのc-Fos陽性細胞数をHE群とLE群で比較検討した。その結果、HE群の方がCap刺激により惹起された疼痛関連行動時間が有意に延長し、さらに三叉神経脊髄路核尾側亜核・頸髄境界部(Vc/C1)でc-Fos陽性細胞が有意に多かった。以上より、E2はカプサイシン刺激による急性痛の増悪因子であり、その作用部位はVc/C1または一次感覚ニューロンであることが示唆された。 3)2)の結果より、一次感覚ニューロンに対するE2の作用を検討するため、カプサイシン受容体であるTransient receptor potential vanilloid 1 (TRPV1)とTRPV1と共役するとされるAnoctamin1(ANO1)の三叉神経節でのmRNA発現量をHE群とLE群で比較検討した。その結果、いずれのmRNA発現量もHE群の方が有意に多かった。以上より、E2はTRPV1やANO1といった侵害受容器の発現を亢進させることで、Cap刺激により惹起された侵害受容性疼痛を亢進させることが示唆された。
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Remarks |
Estrogen exacerbates capsaicin-evoked nociceptive pain via upregulation of TRPV1 and ANO1 in trigeminal primary afferents. endocrinology(投稿中)
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Research Products
(1 results)