2013 Fiscal Year Research-status Report
ナノサイエンスを応用した新規顎顔面領域の縫合部制御法の開発
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25463166
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
川元 龍夫 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (50323704)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森山 啓司 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (20262206)
小林 起穂 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (20596233)
東堀 紀尚 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (50585221)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 歯学 / 矯正学 / ナノサイエンス科学 |
Research Abstract |
研究の目的:リラキシンは子宮弛緩因子と呼ばれるペプチドホルモンであり子宮や胎盤等から妊娠末期に血中へ分泌され、恥骨結合を弛緩させて分娩を補助する。リラキシンは細胞外基質分泌を調節することが報告されているが、骨芽細胞に対する作用機序は不明である。本研究はリラキシンとその受容体の骨芽細胞表現型に対する作用を検討することを目的とした。 試料および方法:タンパク質輸送担体としてナノサイズのリポソームを用いリラキシン結合型リポソームを作製した。MC3T3-E1細胞を分化誘導培地にて培養し対照群およびリラキシンリポソーム群との間で以下の実験を行った。MTT法にて細胞増殖能を評価し、ALP活性の測定、半定量的PCRによる骨芽細胞分化因子遺伝子発現の検索、アリザリンレッド染色による石灰化能の解析を行った。ザイモグラフィーにてMMP活性を、VVG染色にてコラーゲン生成を評価した。Rxfp遺伝子機能抑制実験としてsiRNA発現ベクター恒常発現MC3T3-E1細胞株を樹立し(MC-siRxfp1, 2)その細胞表現型を評価した。 結果:リラキシン群は有意に高いALPおよびMMP活性、Runx2 mRNAの発現亢進、Opg mRNA発現抑制を示した。MC-siRxfp1, 2は対照群と比較して有意に高い細胞増殖能を示した。MC-siRxfp1リラキシン添加群ではMC-siRxfp2と比較して有意に高いALP活性、Erkリン酸化の亢進、MMP活性の低下、コラーゲン生成の抑制および石灰化能の亢進が認められた。 考察:Rxfp1は骨芽細胞の細胞外基質代謝に、Rxfp2は骨芽細胞分化と石灰化に重要な役割を担うことが示された。 結論:リラキシンは骨芽細胞膜上のRxfpを通じて骨芽細胞分化、細胞外基質代謝に影響を与えることが示され、胎生後期の骨発生に何らかの機能的役割を果たすことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は計画通り進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
リラクシン磁性リポソーム生体内投与とその影響に関する検討(マウス口蓋縫合部) 10週齢雄性マウス口蓋正中縫合部に至適濃度のリラクシン磁性リポソームを骨膜下注射後(個体数5)、4000ガウスの磁力を帯びたスチール線を装着した矯正用拡大装置をマウス上顎臼歯部に固定し、リラクシン磁性リポソーム注入後2日目より1日0.5mmずつ8日間拡大を行う。リラクシンの血中への徐放を考慮し、拡大4日目にリラクシン磁性リポソームを追加注入する。対照群として、生理食塩水を注入した群(個体数5)、および磁性リポソームのみを注入した群(個体数5)を用いる。リラクシンの血中濃度はELISA法にて経時的に測定する。拡大終了後、動物を屠殺し、縫合部のレジン包埋切片、および脱灰切片を作成し、形態学的観察、TRAP assayによる破骨細胞出現様相の検索、免疫組織学的検索によるリラクシンおよびその受容体の局在を検索する。拡大部における骨芽細胞の分化状態、及び破骨細胞分化誘導因子であるRANK/RNAKLシグナル経路について免疫組織学的および分子生物学的手法を用いて解析する。約1ヶ月間の拡大部分における骨新生待機期間を経た後、縫合部の拡大量をマイクロCTにて評価する。また、3次元立体構築を行うことで、より詳細に骨形成状態を解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験計画の順序を若干修正したため、実験に使用するための機材の購入が先送りになったため。 研究の進捗状況はおおむね計画通りに進んでいるため、基本的に計画通りの用途で使用していく予定である。
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