2015 Fiscal Year Annual Research Report
ナノサイエンスを応用した新規顎顔面領域の縫合部制御法の開発
Project/Area Number |
25463166
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
川元 龍夫 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (50323704)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森山 啓司 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (20262206)
小林 起穂 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (20596233)
東堀 紀尚 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (50585221)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 歯学 / 矯正学 / ナノサイエンス科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の目的:リラキシン(Rln)は子宮弛緩因子と呼ばれるペプチドホルモンであり、妊娠末期に子宮や胎盤等から血中へ分泌され、恥骨結合を弛緩させて分娩を補助する。マウス顎顔面頭蓋発生におけるRln受容体遺伝子(Rxfp)の発現様相、およびRlnの骨芽細胞分化、細胞外基質代謝に与える影響について報告してきた。当該年度はRlnの頭蓋縫合部拡大効果に対する作用をin vivoにて検討することを目的とした。 試料および方法:タンパク質輸送担体としてナノサイズのリポソームを用いRln結合型リポソームを作製した。矯正用ワイヤー製の拡大装置を8週齢雄性マウス頭頂骨に装着し、Rln結合型リポソーム投与群(以下Rln群)、生理食塩水投与群(以下PBS群)を対照群として20 gfにて矢状縫合の側方拡大を行った。また非拡大群を陰性対照群とした。拡大開始48時間および1週間後に頭蓋骨を採取し拡大量を計測後、矢状縫合部における骨密度をμCTにて計測した。縫合部の連続組織切片の作成を行い、縫合部における破骨細胞形成、細胞外基質について組織学的検討を行った。 結果:拡大開始1週間後の矢状縫合部における骨密度はPBS群では非拡大群と比較して低い傾向を示したが、Rln群ではPBS群と比較して有意に高い値を示した。Rln群ではPBS群、非拡大群と比較して拡大量は増加傾向を示し拡大部におけるTRAP陽性破骨細胞の形成および骨形成が観察され、Rxfp1、2の縫合部未分化間葉系細胞および頭頂骨における高発現が観察された。 結論:Rlnは頭蓋矢状縫合部側方拡大時の骨リモデリングに影響を与えることが示され、効率的な縫合部拡大および拡大後の速やかな骨形成に有用となる可能性が示唆された。
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