2013 Fiscal Year Research-status Report
血栓症予防看護ケアとしての足浴やアロマオイル足浴の臨床的有用性の科学的実証研究
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25463325
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Research Institution | Mie Prefectural College of Nursing |
Principal Investigator |
林 辰弥 三重県立看護大学, 看護学部, 教授 (00242959)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 足浴 / 血管内皮細胞 / プラスミノゲンアクチベータインヒビター / 組織因子経路インヒビター / アロマオイル |
Research Abstract |
我々はこれまでに、40℃の湯温を用いた足浴では、足浴中、あるいは足浴後に血漿プラスミノゲンアクチベータインヒビター濃度の一過性の低下と血漿組織因子経路インヒビター濃度の一過性の増加が認められること、およびアロマオイル(マジョラム、ペパーミント、レモン、ライム、ラベンダー、ローズマリー)の混合液を足浴前に手に刷り込んだのちに足浴を実施した際には、40℃に加えて、43℃の湯温を用いた足浴でも血漿プラスミノゲンアクチベータインヒビター濃度の一過性の低下が認められ、37℃の湯温を用いた足浴で血漿組織因子経路インヒビター濃度の一過性の増加が認められた。本年度は、これまでに得られた足浴の湯温の違いの血漿プラスミノゲンアクチベータインヒビター濃度及び血漿組織因子経路インヒビター濃度の変動機序、さらにはアロマオイル混合液中でもっとも血管内皮細胞によるプラスミノゲンアクチベータインヒビター濃度を低下させ、組織因子経路インヒビター産生を増加させるアロマオイルを特定するため、培養血管内皮細胞のプラスミノゲンアクチベータインヒビター及び組織因子経路インヒビター産生に及ぼす温度及び種々のアロマオイルの影響を検討した。その結果、血管内皮細胞による組織プラスミノゲンアクチベータインヒビター産生、及び組織因子経路インヒビター産生はその温度依存性に低下し、また6種類のアロマオイルのうち、レモン及びライムは、37℃における血管内皮細胞による両者の産生に影響せず、マジョラム、ペパーミント、ラベンダー、ローズマリーは37℃における血管内皮細胞による両者の産生を低下させることが明らかになった。以上の結果により、ボランティア被験者で得られた足浴、及びアロマオイルを組み合わせた足浴の血漿プラスミノゲンアクチベータインヒビター濃度の低下作用は、本研究結果により部分的には説明できることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in vitroにおいて、血管内皮細胞における組織因子経路インヒビターの産生は温度の増加により、むしろ低下する傾向が認められ、それによりボランティア被験者で得られた足浴による組織因子経路インヒビターの血漿濃度の一過性の増加を説明することはできなかったが、血管内皮細胞におけるプラスミノゲンアクチベータインヒビターの産生は温度依存性に低下し、このことは、ボランティア被験者で認められた足浴によるプラスミノゲンアクチベータインヒビターの血漿濃度の一過性の低下と一致し、さらに、少なくともプラスミノゲンアクチベータインヒビターについては、血管内皮細胞におけるその産生をもっとも低下させるアロマオイルを特定することができたので、今後は、足浴及びアロマオイルを組み合わせた足浴の血漿プラスミノゲンアクチベータインヒビター濃度の低下、およびその低下と血漿フィブリン分解産物に及ぼす影響に焦点を絞ってボランティア被験者を使ってそれらの血栓症予防効果を検証することとし、以上より、本研究はおおむね順調に進展していると考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本年度に特定されたアロマオイルを用いた足浴の血栓症予防効果を、ボランティア被験者を用いて、足浴中、および足浴後の血漿プラスミノゲンアクチベータインヒビター及びフィブリン分解産物、さらにはトロンビン-アンチトロンビン複合体濃度を測定することにより検討する。
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Research Products
(2 results)