2013 Fiscal Year Research-status Report
助産事故後の当事者間の信頼関係をつなぐ「分岐」を意識した初期対応モデルの構築
Project/Area Number |
25463492
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Niigata College of Nursing |
Principal Investigator |
高島 葉子 新潟県立看護大学, 看護学部, 准教授 (20553308)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚本 康子 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 教授 (60310554)
稲葉 一人 中京大学, 法務研究科, 教授 (80309400)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 助産事故後 / 当事者間 / 信頼関係をつなぐ / 分岐 / 初期対応モデル |
Research Abstract |
本研究の目的を踏まえて平成25年度は1.助産事故経験の有る開業助産師の信頼関係をつなぐための初期対応やその後紛争予防対策および対策実施を阻害する要因の実態を明らかにすること、2.助産事故経験の無い開業助産師の、初期対応および紛争予防計画の実態を明らかにする計画であった。倫理審査の承認を得た後、研究主旨に同意を得た助産事故経験のない開業助産師5名に半構造的なインタビューを実施し質的に分析した。 結果、46のサブカテゴリーと10のカテゴリーが抽出された。助産事故経験の無い開業助産師5名は、助産事故を助産師の過誤によるものと認識しており、したがって、助産事故の初期対応について、想像の域を超えない語りとなった。【有害事象時は謝罪や誠実に対応する】が、【有害事象全てをミスとして引き受けない】という2つのカテゴリーが導き出された。専ら、助産事故・紛争予防計画として、まず、【助産契約を締結してよい妊婦か判断する】ことで、リスクを極力背負わないことが肝心であり、信頼関係の構築では【家族の同意を得る】ことが妊産婦よりむしろ最も重要なことと捉えていた。そして、【妊婦健診では不安の徹底的な表出促しと妊婦の見極めに力を注ぐ】こと、【緊急時に備えて人的・環境・物品・薬剤の準備をする】をしつつ、【助産診断に基づき有害な状況を予測し早期に対処する】ことを心がけ、【搬送理由の納得のいく説明と搬送後の継続ケアで繋がる】と考えていた。また、適切な搬送や正常逸脱時の助産師の行動を促進するためには、【医師との関係性に大きな影響を受ける】ことが語られた。開業助産師は、非常に小規模な医療施設であり、従事する職員も少ない。管理者とケア実践者が同じであることから、【職能団体からの安全を担保する体制に依拠する】状況が語られ、職能団体の責任者でもある一名は、自らの助産所を超えた体制づくりに奔走している姿が垣間見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度の研究実施計画では、開業助産師の実態調査のアンケート調査の前に、1.助産事故経験の有る開業助産師の信頼関係をつなぐための初期対応やその後紛争予防対策および対策実施を阻害する要因の実態を明らかにすること、2.助産事故経験の無い開業助産師の、初期対応および紛争予防計画の実態を明らかにする計画であった。助産事故の経験の無い開業助産師5名に半構造的な調査を実施したが、助産事故後の初期対応として語られた内容は、上記の成果で記述した通り、助産事故を助産師のミスつまり過誤によるものと認識しており、したがって、助産事故の初期対応について、想像の域を超えない語りとなり、苦慮しながらの語りとなった。【有害事象時は謝罪や誠実に対応する】が【有害事象全てをミスとして引き受けない】という2つのカテゴリーが導き出されたに過ぎず、専ら、助産事故予防・紛争予防計画として語られた。そのため、分析の視点を絞ることに手間取り、1.の助産事故を経験した助産師への調査には至らなかった。また、アンケート項目を作成することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究全体を見直し、1.助産事故経験者の調査は、平成22年~24年度科学研究費にて実施した研究である助産事故を体験した助産師と女性の経験をアンケート項目のベースとし、そこに平成25年度の助産事故を体験していないと認識している助産師からの調査を加え、アンケート項目をおこし、アンケート調査を実施する。 1)アンケートを作成し、調査を実施する時期を12月一杯とする。 2)平成27年1月~3月の分析と平行して、初期モデルの試案を作成する。 3)初期モデルの試案作成にあたって、開業助産師数人の意見を求める。 4)モデル案を決定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.開業助産師からのインタビューにあたって、基金の申請結果が不明な時期に、計画を進行させてしまい、研究参加者の日程調整ができず、科研費を使用することができなかった。また、インタビューの人数も5名であり、助産事故体験者のインタビューを実施できなかったことも人件費・謝金を使用していない結果になってしまった。しかし、研究そのものは、科研研究として実施していく予定である。 2.外国文献の検索が遅れているため、翻訳等の費用の使用がなかった。 1.今年度中にアンケートを実施予定であるので、その作成や郵送代、入力等の依頼に使用する。 2.初期対応モデル試案を作成するにあたって、数名の開業助産師に意見を聞かせていただく予定であり、その謝金等に使用する。 3.文献検索および翻訳費用にあてる。
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