2014 Fiscal Year Research-status Report
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25501007
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
朝廣 和夫 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 准教授 (30284582)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 水害 / 中山間地 / 農地 / 棚田 / 共助 / ボランティア / 観光 / 災害復旧 |
Outline of Annual Research Achievements |
2012年7月の九州北部水害に見舞われた福岡県八女市の被災地域を対象とし、被災地を訪れた彼らの属性と活動の持続性、変容を時系列に明らかにすることを目的としている。特に災害前の平時のツーリズムとの関係について着目している。平成26年度は、次の二つの調査を実施した。1つは、福岡県八女市星野村のNPO法人がんばりよるよ星野村の農地復旧ボランティア参加者への現地でのアンケート調査である。2つ目は、福岡県八女市黒木町のNPO法人山村塾の農地復旧ボランティア参加者への郵送アンケート調査である。その実施状況などを報告する。 NPO法人がんばりよるよ星野村への調査は、2014年7月~10月の活動に5参加し、調査員がボランティアに参加し現地で直接配布し、回収を行った。回収数は55である。活動内容は、田畑の土砂だしや、花公園や茶畑の草取りなどであった。本調査から得られた結果として、災害前の平時のツーリズムと災害後のボランティアツーリズムの関係については、災害前に星野村に観光に来たことがある人は回答者の約半数であり、星野村への愛着が有意にボランティア活動の参加動機につながっていることが示された。また、残りの半分は、災害前に星野村を訪れたことは無く、有意にボランティア活動自体が参加動機としていた。さらに、災害後の星野村での観光活動は、よりソフト面の支援に貢献するような活動へと移行していったという結果を示した。以上の結果は、平成26年度日本造園学会九州支部大会において口頭発表され、今後、論文としての投稿を検討する。 NPO法人山村塾への調査は、2014年11~12月に郵送で約900通を、2012年7月以降に参加した個人ボランティアに郵送し、また、企業・団体についても依頼を行った。2015年1月末の段階で約160通のアンケート票が回収され、入力・分析を継続している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に示した実地でのアンケート調査および郵送でのアンケート調査の両者の実施・回収を終え、後者は入力・分析段階まで進んだ。前者は日本造園学会九州支部での口頭を実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、これまでの取得データの分析整理を進め、研究論文として取りまとめる予定である。なお、今後、他地域の事例との比較や、ボランティアツーリズムの先進地との比較も残された期間で検討したい。さらに、今年度取りまとめ予定の平成24年度戦略的創造研究推進事業(社会技術研究開発)(H24~27)代表 朝廣 和夫「中山間地水害後の農林地復旧支援モデルに関する研究」の研究結果との統合も今後の課題である。
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Causes of Carryover |
災害後のボランティアへの調査において、調査協力団体との交渉が遅れたため、研究全体のスケジュールが遅れている。なお、平成26年度に必要とするアンケート調査は実施できており、データ入力・入力に必要な人件費・その他の経費、および、学会発表に必要とされる経費が平成27年度にずれ込んだ。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
アンケートの回収率が当初の見込みほど達することができず、郵送費やデータ整理の人件費が少なくなる見込みである。調査結果の妥当性を補足する必要があるため、海外を含めた他地域の事例調査の検討を行う。また、データ整理に必要な人件費、ソフト等の費用、論文投稿の経費、報告書の印刷経費として使用する計画である。
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