2013 Fiscal Year Research-status Report
高齢者および小児・幼児における脱水・熱中症予防ケアの確立
Project/Area Number |
25510006
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
寄本 明 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (30132278)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芳田 哲也 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (00191601)
南 和広 滋賀県立大学, 人間文化学部, 准教授 (30398812)
新矢 博美 京都女子大学, 公私立大学の部局等, 教授 (70201564)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 脱水 / 熱中症 / 水分出納 |
Research Abstract |
地球温暖化やヒートアイランド現象による影響として、熱ストレスの増大が指摘されている。一般環境における熱ストレスの増大は、日常生活における熱中症発症リスクを高める。特に体温調節機能が低下している高齢者や体温調節機能が未発達の小児・幼児は成人よりそのリスクは高く、脱水や高体温に起因して熱中症を発症している。そのためこの年代でのケアは予防のために大変重要となる。高齢者および小児・幼児の水分出納を測定し、生活状況や環境条件を考慮した脱水および熱中症予防指針を作成、高齢者および小児・幼児を対象としたケア現場へ活用する事を目的とする。 本年度は日常生活活動における生活活動状況および水分出納に関する調査を実施した。水分出納は環境温度や活動量(エネルギー消費量)によって変化し、さらに年齢や性差によっても変化すると考えられる。一般高齢者、要支援・要介護高齢者を対象とし、水分出納の測定に平行して歩数計と心拍数計、および自己記入による生活時間調査から1日のエネルギー消費量を算出し、さらに携帯用温度計を被験者に所持させ被験者が曝露された環境温度を測定して、水分出納に影響する年齢・性差、環境温度(季節)、活動量の影響を明かにしようとした。なお、水分代謝の測定は,簡便に測定可能な体重測定法により,被験者の平均的な日常生活を反映する日(曜日)に実施した。 高齢者27名(男10名71.9±6.4歳,女17名71.3±8.1歳)では活発な運動を有する者の水分損失量は有さない者に比べ有意に多かった。さらに1日の総歩数と水分損失量について有意な正の相関関係が認められた。要介護高齢者17名(88.6±6.2歳,要介護度3.1±1.3)では一般高齢者に比べ水分摂取量および水分損失量は少なく、水分損失量では尿・排便によるものが大半であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度(平成25年度)は一般高齢者、要支援・要介護高齢者の日常生活活動における温熱環境・生活活動状況および水分出納に関する調査を行った。一般高齢者27名(男10名71.9±6.4歳,女17名71.3±8.1歳)および要介護高齢者17名(88.6±6.2歳,要介護度3.1±1.3)を対象にで測定・調査を実施する事が出来、当初の予定を達成した。 今後、解析を進め次年度実施の計画を再検討する。本研究の目的である生活状況や環境条件を考慮した1日の水分摂取基準を算定し、脱水・熱中症予防指針を作成へと展開する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度以降の予定として、次の取組を進める。 1.日常生活活動における生活活動状況および水分出納に関する継続調査:前年度に引き続き一般高齢者、要支援・要介護高齢者および小児・幼児を対象とし、水分出納、活動量を調査し、さらに携帯用温度計にて被験者が曝露された環境温度を測定して、水分出納に影響する年齢・性差、環境温度(季節)、活動量の影響を明らかにする。 2.水分摂取基準を算定し、脱水・熱中症予防指針を作成:環境因子および生活活動状況から水分出納、熱中症発症リスクを検討し、脱水・熱中症予防指針を作成する。次の観点からデータを整理し、指針を作成する。夏季・冬季等の季節変化の影響、暑熱順化による影響、昼間・夜間睡眠時の影響、在宅・施設等での生活の影響について解析し、指針をまとめる。 3.ケア現場での活用とその評価・修正:一般高齢者、要支援・要介護高齢者および小児・幼児の生活状況や環境条件を考慮した脱水予防指針は、負担なく必要な水分摂取量の確保をし、生活の質を高めることにつながる。また、夏季においては熱中症の予防としての効果が期待できる。脱水・熱中症予防指針はケア現場へ活用図り、活用によるアウトカム評価としてケア現場での聞き取りおよび実態調査を行い、修正を加える。 高齢者小児・幼児を対象とした介護施設等へリーフレット、ホームページおよび講習会を通じて発信し、脱水・熱中症予防ケアを確立させる。
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Research Products
(8 results)