2013 Fiscal Year Research-status Report
日本語教育・留学生教育における日本型「知の技法」の活用に関する研究
Project/Area Number |
25511005
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松永 典子 九州大学, 比較社会文化研究科(研究院), 教授 (80331114)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳永 光展 福岡工業大学, 公私立大学の部局等, 教授 (20341654)
施 光恒 九州大学, 比較社会文化研究科(研究院), 准教授 (70372753)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 日本語教育 / 留学生教育 / 日本研究 / 教育プログラム / 教材開発 / アカデミックスキル |
Research Abstract |
本研究では、日本が伝統的に他から「受容」した知を日本に適応可能な形に調整しながら「加工」「活用」する能力に秀でている点に着眼した。この文化調整型とも言うべき日本型「知の技法」を活用した人材養成プログラム、方法論の構築を通して、他国の同様の課題にも貢献し得る普遍的視点を確保することを目的としている。このため、本研究では人文社会科学分野の学際的比較文化研究の観点から、日本型「知の技法」を定式化し、またその意義や長所を明らかにし、こうした研究成果を留学生を惹きつけることのできる分野横断的な教育プログラムの創出に生かすことをめざしている。 こうした課題に対し、本研究チームは2009年7月から、学際統合的な日本研究の取り組みとして「知の加工学」プロジェクトを立ち上げ、日本研究の新しい観点を打ち出すと同時に、それを大学院の日本研究者養成、あるいは留学生教育に資する教育モデルとして還元すべく研究教育実践を行ってきた。この「知の加工学」という切り口は統合的日本研究の研究視点として有効であることは確認されてきたが、教育を検証するまでには至っていなかった。そこで、2013年度は、本研究チームが蓄積してきた基礎研究の知見をもとに、3年間にわたる教育実践の分析を実施した。その結果、留学生がより専門的・統合的な「内容」を理解するためには、学際的教育に携わる教員がまず教育目標・教育方法を共有していくことが必要であり、そのためには、各専門分野の教員が編集段階から作成に加わるテキストの作成と、異分野融合のディスカッションなど、受講生が主体となって活動できる演習部分を組み込んだカリキュラム開発が必要であることが示唆された。以上のように、学際的知をどのように統合していくかという「加工」のノウハウは、異文化との接触、相互学習の機会が増える教育実践の場にひとつの有効な指針を提供することにつながることが見込まれる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
日本型「知の技法」に関しての知見を深めるべく、欧米諸語をモデルとして成り立った日本語文法の改善点を説く研究者を招聘したワークショップを開催する予定であったが、平成25年度は実現に至らず、次年度以降に開催することにした。このため、日本型「知の技法」を活用した教育プログラムの開発に関する作業(教育実践の分析、教材・カリキュラム分析)はおおむね順調に進展しているが、日本型「知の技法」の理論化に関する作業が予定よりやや進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
教育実践の分析、教材・カリキュラム分析を踏まえ、今年度はまず、日本研究入門テキストの開発(教材施行版)に取り組んでいく。本実践研究では、日本語教育に特化せず、人文社会科学分野との統合という観点を有することから、教育工学の教授設計論の「学習目標の明確化」、「課題分析」、「指導方略」という手法を活用し、テキスト試行版の作成を行う。ただし、大学院の改組により、これまで行ってきた教育実践の場が失われてしまうことから、新たな教育実践の場を模索する必要性が生じてきている。この場合、人文社会科学のみならず、自然科学分野も含めた教材化が可能かどうかについては改めて検討し、アカデミックスキル指導との融合性を図っていくこととする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1点目は日本型「知の技法」に関しての知見を深めるべく、欧米諸語をモデルとして成り立った日本語文法の改善点を説く研究者を招聘したワークショップを開催する予定であったが、平成25年度は実現に至らず、次年度以降に開催することにしたことによる。2点目は、分担研究者より、次年度の予算と合算して予算を使用したいという申し出があったことによる。 ワークショップ開催は次年度に実施する予定である。分担者への予算は昨年度分と合算して使用してもらう予定である。
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Research Products
(5 results)