2014 Fiscal Year Research-status Report
東日本大震災の仮設住宅住民の健康と生活環境の変化に関する研究
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25516014
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
崎坂 香屋子 中央大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (00376419)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 穂波 国立保健医療科学院, その他部局等, 研究員 (20626113)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 東日本大震災 / 岩手県陸前高田市 / 津波被災住民 / 仮設住宅 / 健康状態 / social capital / 防潮堤 / 宮城県気仙沼 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)平成26年度(2014年度)は研究対象地である東日本大震災被災地のうち主として岩手県陸前高田市(3月、8月)で調査を実施し、比較対象地として宮城県気仙沼市、石巻市においても調査を実施した(平成26年11月、平成27年3月)。 (2)調査結果要約:仮設住宅から災害公営住宅への移行期に、住宅再建は2年以内の着工必須規定を含め制約条項の発生、災害公営住宅への期限内移転等被災者にとって更に困難な問題が惹起された年となった。仮設住宅連絡会解散と一部自治会の解散、自治会長不在問題、住民減少に関する問題も起きている。これら被災者の衣食住、尊厳を脅かす課題の山積に関しては夏期に行った仮設住宅自治会長、住民からの直接聞き取りの成果である。 震災から4年目を迎えたが住民全員のための安全な土地提供は確保不可能な情勢となり、土地価格も高騰、高齢の震災弱者にはさらに厳しい環境となっている。引き続き、こうした時系列での被災地の現況を報告、分析、発信することは我が国に限らず多様な震災に関する知見の蓄積であり引き続き意義深い研究と思料し、平成27年も同様の調査を実施する。 (3)研究成果として2011.3.11被災当日の女性たちのライフヒストリー作成支援と出版、国内学会発表、論文投稿、国際会議での成果報告を行った。 (4)平成26年度実地調査他:平成26年2-3月、女性たちの被災日のライフヒストリー作成支援、平成26年8月、陸前高田市全仮設住宅調査、自治会長聞き取り調査、広田地区逃げ地図作成支援。11月、気仙沼市小泉地区被災民による防潮堤への意向調査、平成27年3月、仙台にて国連防災世界会議での成果発表。同3月石巻市開成仮設住宅にて意見交換と地域包括センターにて情報収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成25年に開始した本研究は、東日本大震災において特に被災が激しく、壊滅的被害を受けた岩手県陸前高田市を主たる研究対象地とした。東京からのアクセスの困難、多数の行政官の死亡による行政の混乱、復旧速度の遅さ、高齢被災者の多さ、東北独特ともいえるやや内向的性格特性と男性優位社会、等研究実施環境は困難を極めていた。そのため、研究開始から阪神大震災支援経験があり研究対象地と強い人的つながりのあった法政大、明治大、東北大の研究チームと連携することとした。
初年度から世帯調査を実施できたことはこれら大学の地元との縁にも起因する。複数の大学の専門の異なる研究チームが毎年8月に2回ずつ、若い大学生を多数調査補助員として同行し、混合チームで全地区に分散して情報収集することで高齢被災者が打ち解けて受け入れを歓迎した。調査だけでなく同行大学生らが仮設住宅のボランティアも買って出ることで、仮設住宅住民は情報の提供を快く了承してくれた。複数の大学でデータ分析を行い、逃げ地図作成等多様な支援へと拡大できた。毎年実施の聞き取り調査の結果、地元新聞他も毎回調査成果について取り上げ報道してくれた。その中で声を上げにくかった女性協議会との連携も実現し、女性の被災者ライフヒストリー研究も実現した。
2015年3月には仙台で国連防災世界会議も開催され時宜を得た形で成果発表の場を得ることができた。復旧復興が遅延しながら推移する中で研究開始年から毎年同時期に規則的に対象地の全仮設住宅調査を実施することで研究は期待以上に順調に推移した。
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Strategy for Future Research Activity |
前年までと同様、平成27年(2015年)8月にも全仮設住宅調査を実施し、本年度新たに災害公営住宅に入居した被災者と仮設住宅に残留している被災者を比較する研究を実施予定にする。同時に可能であれば宮城県気仙沼、石巻市の巨大規模の仮設住宅の知見も比較検討する。成果報告として英文論文投稿と出版、学会発表を行う。
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Causes of Carryover |
予定していた調査の一部が予定期間内に完了しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度に未完了の調査を実施する。
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Research Products
(6 results)