2014 Fiscal Year Research-status Report
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25518007
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
曽我 謙悟 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (60261947)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 政策実施 / 行政と国民 / アカウンタビリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,戦後日本の中央省庁がいかなる政策実施手段を用いてきたのか,具体的には,規制,給付,直接実施,情報提供という四つの選択肢をどのように選んできたのかについて,数量的な把握を試みることを目的としている.3年間の研究実施期間のうち2年目にあたる2014年度においては,大きく分けて,データベースの作成と公開と理論的検討という二つの作業を進めることを計画していた. 具体的な研究実施の内容は以下の通りである.まず,昨年度に引き続き,中央府省の政策実施にかかわるデータの収集をおこなった.たとえば,労働基準監督署の年度別,地域別の監督件数といったデータを,労働基準監督署ごとの職員数,予算規模などとともに入力していく作業をおこなった. 理論的検討としては,本研究課題に関連する重要な先行業績であるDaniel Carpenter, Power and Reputationについての検討を研究会で報告したほか,本研究の全体の構想についても研究会で報告をおこなった.行政への市民参加といった古典的モデルでもなく,国民・住民から政治家,そして行政機構という委任の連鎖を中心とするこれまでのプリンシパル・エージェント・モデルでもなく,行政機構による政策実施と国民・住民からの「評判」を通じた緩やかな統制とそれへの行政機構の応答をモデリングしていく試みをそこでは提示した.このことに関連して,国民・住民へのアカウンタビリティについての数理モデルについて,出版物による公表を行った. これらの研究を通じて,選挙を中心とする政治参加と政治的アカウンタビリティの追求とは異なる経路としての,行政による政策実施とそれへの国民・住民の応答について,理論的,実証的な検討をおこなうことができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は理論的検討とデータベースの作成・公開を実施計画に掲げていたところ,理論的検討とデータベースの作成までは進んだものの,データベースの公開には至らなかった. これは2015年4月をもって所属機関を移ることとなり,公開に必要なネットワーク環境などを考慮すると,所属機関移動後に作業を進める必要が生じたためである.
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Strategy for Future Research Activity |
所属機関の異動に伴い,研究実施体制を再びセットアップする必要が出てくるが,早急に対応し,予定通りの研究計画の遂行が可能となるように努める.
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Causes of Carryover |
2015年4月より京都大学に移動することとなり,ネットワーク環境の利用が必要なことから,データベースの公開については,2015年度の作業とする必要が生じたためである.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ネットワーク公開に必要な作業についての研究補助を得ることで,2014年度の作業で持ち越された分について実施をおこないつつ,当初から2015年度において計画していた論文執筆などを並行して進める予定である.
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Research Products
(1 results)