2013 Fiscal Year Research-status Report
発話音韻解析と信念ネットワークの高度化に基づく認知症の早期スクリーニング
Project/Area Number |
25540146
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
加藤 昇平 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70311032)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 医療・福祉サービス / 認知症スクリーニング / 発話音韻解析 / 多重ロジスティック回帰分析 |
Research Abstract |
本研究では、高齢者の音声に対する独自の解析手法を提案することで、ごく早期の認知症の発見・予防を目的とした極めて簡易な音声認知症スクリーニングの基礎アルゴリズムを開発する。初年度である平成25年度は以下の項目について研究を実施した。 1)実験データ(音声サンプルと臨床データ)採取:実験には、国立長寿医療研究センター病院に来訪した外来患者25名の高齢者(64-93歳)が参加し、健常な高齢者(CN群)、軽度認知機能障害(MCI群)、軽度アルツハイマー型認知症(AD群)を対象とした。 2)刺激課題の研究開発:認知課題としては、質問式の認知症スクリーニングツールである、長谷川式簡易知能評価スケールを含めた9項目から構成されるブロックデザインの認知課題を設計し、音声・fNIRS同時計測を行った。 3)音声による認知症スクリーニングの予備的調査:2)に併行して、先行研究にて既に採取済みの臨床データ(浴風会病院外来診察来訪高齢者243人)に対して次の研究を実施した。 a)音声特徴量の精査:先行研究において、メル周波数ケプストラム係数(MFCC)特徴量の多くが軽度認知症を判別する韻律特徴として有力であることがわかっている。そこで本研究項目では、このMFCC特徴量の抽出計算を再評価し、軽度ADの判別に有効な特徴量を精査した。 b)多重ロジスティック回帰分析によるスクリーニング基礎アルゴリズム:先行研究にて開発・抽出した129次元の音声韻律特徴量に対して、多重ロジステック回帰分析を適用することでMCI群ならびにAD群の判別に有効な韻律特徴の発見を試みた。その結果、CN群・AD群の2群判別に対して、感度90.12%、特異度88.89%、正診率89.51%、CN群・MCI群の2群判別に対して、感度76.54%、特異度75.31%、正診率75.93%の良好な判別性能を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
臨床データの採取に欠かせない認知症専門医療機関との連携が上手くでき、実験データが順調に採取できた。これに加えて、ロジスティック回帰分析の導入が順調に進み、先行研究の判別性能を大きく改善する予想以上の効果を確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、高齢者医療の専門医療機関、および、認知症専門医、言語・聴覚の評価と機能回復のスペシャリスト、ならびに、高齢者の協力が欠かせない。今後も、これらの連携機関・実験協力者と密にコミュニケーションを取ることで、研究を円滑かつ効率的に進めてゆきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究成果発表・調査研究として出張・参加した国際会議参加登録費において、補助対象外となる経費(飲食相当)が控除されたため。 H26年度は物品費の配分が比較的少額なため、これに充当する予定である。
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Research Products
(14 results)