2014 Fiscal Year Research-status Report
発話音韻解析と信念ネットワークの高度化に基づく認知症の早期スクリーニング
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25540146
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
加藤 昇平 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70311032)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 医療・福祉サービス / 認知症スクリーニング / 発話音韻解析 / 多重ロジスティック回帰分析 / ROC解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高齢者の音声に対する独自の解析手法を提案することで、ごく早期の認知症の発見・予防を目的とした極めて簡易な音声認知症スクリーニングの基礎アルゴリズムを開発する。2年目である平成26年度は以下の項目について研究を実施した。 1)スクリーニングの基となる音声特徴の抽出技術の研究開発 ・ゆらぎ指標の導入:昨年度までに開発した、発話音声の音高、音高、口腔の共鳴特性、声道の伝達特性からなる128種の音声特徴量に加えて、音高と音量の時系列からゆらぎの特徴を算出する計算プログラムをそれぞれ開発した。 2)スクリーニングに有効な韻律特徴を選択する技術の研究開発 ・3つの新しい統計指標の導入:リスクファクターの予後予測性能を評価する指標として、近年の統計医学で注目されている指標である、C-統計量、IDI、および、NRI、の3つの統計量をそれぞれ計算するプログラムを開発し、これを先行研究にて開発した認知症判別モデルに適用し性能を改善した。 ・ROC解析による特徴量の精査:昨年度の研究で実施したロジスティック回帰モデルと上記の指標を組合せて認知症の判別に有効な音声特徴量の自動選択・合成するアルゴリズムを開発した。任意の音声韻律特徴集合を用いて多重ロジスティック回帰モデルを作成し認知症の有無を判別する。ここで、同モデルのカットオフポイントを変化させながら、認知症判別のTrue Positive(感度)とFalse Positive(特異度)の2軸直交平面上にプロットを作成する。このプロットを繋いだ曲線がROC曲線と呼ばれるもので、この曲線の下側面積(AUC)をC-統計量と呼ぶ。AUCが大きいほど、選択された音声特徴の組合せが認知症の判別に有効であることを示す。本研究実施項目では、この評価指標に加えて「判別モデルがどれたけ目標を分類できるか」をより正確に表現した指標であるIDI,NRIを採用した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
臨床データの採取に欠かせない認知症専門医療機関との連携はうまく進んでおり、実験データのサンプルサイズは順調に増加している。昨年度に行ったロジスティック回帰分析の導入に加え、新規の統計指標とROC解析を組合せた特徴量の精査が順調にすすみ、先行研究の判別性能を大きく改善する予想以上の効果を確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、高齢者の専門医療機関および、認知症専門医、ならびに、高齢者の協力が欠かせない。今後も、これら連携機関・実験協力者と密にコミュニケーションをとり、研究を円滑に進めてゆきたい。
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Causes of Carryover |
人件費として当初見込んでいた被験者協力者金の支払をする必要が無くなったため。 その他経費として当初見込んでいた論文印刷費の支出が無かったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H27年度は物品費と人件費の配分が比較的少額なため、これに充当する予定である。
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Research Products
(15 results)