2013 Fiscal Year Research-status Report
アンビエント学習支援システム構築を指向した基盤要素抽出のための多元的基礎研究
Project/Area Number |
25540165
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
松居 辰則 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (20247232)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 学習に対する満足度 / 知識獲得 / Amenity of Learning / アンビエント学習支援システム / インタラクション・パターン / 教授戦略 / 学習時の心的状態 / 内省報告 |
Research Abstract |
本研究では「知識獲得による学習成果と学習に対する満足度」を統合的に捉える枠組みをAmenity of Learning(AOL)と定義し,学習者にAOLを与え得る学習支援システム(アンビエント学習支援システム)を構築するための基盤要素とその計量手法との関係構造をオントロジーによって体系化を行うことを目的としている.平成25年度は「実験フェーズ」として位置づけ,実学習環境の記録から,質的アプローチによる手法でAOLのための教師と学習者のインタラクション・パターンの抽出・整理を行った.具体的には以下の通りである. (1)(熟達した)教師による授業(学習者1名,60分)を2回実施し,教師と学習者の教授学習に関するインタラクションの記録(映像,音声)を記録した.(2)学習者には,生体情報(脳血流,脳波,心拍,発汗)の計測機器を装着し,学習時の生体情報を取得した.(3)(熟達した)教師に「学習者の満足度を向上させる」ための教授戦術(発話や振る舞い),および,教授戦略(発話や振る舞いを行うための根拠(学習者の状態や発話など)とタイミング)をインタビュー調査によって収集した.(4)併せて,学習者から「教師のどのような発話や振る舞いから満足感を感じたか,あるいは満足度が向上したか」,また「その時の心的状態について」の情報をインタビュー調査,質問紙調査によって収集した.(5)内省報告支援のためのアプリケーションの開発を行った. なお,当初予定では被験者(学習者)は10名程度を予定していたが,平成25年度はその規模での実験を達成することができなかった.しかしながら,平成25年度に行った実験および分析の手続きを踏襲することにより,平成26年度の初期段階に被験者の規模を拡大して追加実験を実施する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究はおおむね順調に進展しているが,若干の遅れが生じている.その主な理由は以下の通りである. (1)本研究での実験は実学習環境で行うため,教師と学習の確保,実験実施の日程調整,および教師と学習者の実験参加への承諾を得るために時間を要した. (2)実験参加者には授業終了後に授業記録映像を見ながらの「学習時の心的状態の内省報告」を求めるが,この作業の習熟に時間を要し,分析の方針の変更を検討を行う必要が生じた.検討の結果「内省報告支援のためのアプリケーション」を開発することになった.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は「モデル化フェーズ」と位置付けている.「モデル化フェーズ」では実験フェーズ(平成25年度)で得られた情報から,教師の振る舞いをコンピュータで疑似的に実現する手法,およびコンピュータで学習者の心的状態を推定するための手法を開発する.具体的には次のような下位課題から構成される. (1)教師の発話や振る舞いをコンピュータで疑似的に実現する手法(音声,テキスト,画像等の提示)の開発. (2)コンピュータに学習者の心的状態を認識させる手法の開発.視線計測装置,NIRS脳計測装置,発汗測定装置,座圧測定装置から得られる情報と,学習者による満足度等の心的状態に関する内省・内観報告とのマッチングによって心的状態の検出パターンを抽出する. (3)教師と学習者のインタラクション・トリガを抽出し,AOLを与えるための時間構造を整理する. なお,当初予定では被験者(学習者)は10名程度を予定していたが,平成25年度はその規模での実験を達成することができなかった.よって,平成26年度の初期段階に被験者の規模を拡大して追加実験を実施する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実施した実験の被験者数が予定よりも少なかったため. 平成26年度の予定に先立ち,平成25年度に引き続き,被験者数を増やして実験を実施する.
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Research Products
(6 results)