2013 Fiscal Year Research-status Report
内分泌かく乱物質の次世代影響とゲノムインプリンティング
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25550042
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Ariake National College of Technology |
Principal Investigator |
冨永 伸明 有明工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (30227631)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | エピジェネティクス / ビスフェノールA / 内分泌かく乱物質 / 線虫 / ヒストン |
Research Abstract |
本研究課題では,内分泌かく乱物質暴露によるエピジェネティックなゲノムの修飾状態の変化を明らかにすることを目的にした.研究を開始するにあたって,DNAメチル化レベルの定量変化をターゲットとしたが,線虫はDNAメチラーゼ酵素が働いていないことから,ヒストン修飾を新たなターゲットにすることにした.実験系を変更するにあたり,今年度はヒストンの調製方法および検出方法についての検討に重点を置いた.ヒストン修飾はヒストン分子種中の特異的な位置にあるアミノ酸のモノ,ジ,トリメチル化,アセチル化の状況を調査する必要がある.そこで,それぞれの修飾に特異的な抗体を使用することとした.ヒストンH3のLys4および9の修飾状況に注目した.コントロールおよびビスフェノールAに暴露した成虫線虫をアルカリブリーチ処理することで卵を得た.約50万個の線虫の卵を液体窒素で冷凍し,粉砕した後,タンパク質を抽出し,ヒストンH3を精製キットを用いて部分精製した.部分精製画分をSDS-PAGEサンプル緩衝液で溶解・加熱処理し,12%ゲルを用いてタンパク質を分離した後,ウエスタンブロッティングを行った.その結果.部分精製ヒストン画分に染色レベルで相当するたんぱく質バンドが得られ,抗ヒトヒストンH3用合成ペプチド抗体で単一なバンドが検出された.また,メチル化ヒストン抗体ではその検出状況は異なっていた.以上のことから,抗ヒトヒストン抗体は線虫のヒストンH3にも使用可能であることが分かった.また,ビスフェノールA暴露群においてヒストンH3の修飾状況が変化する可能性が示唆された.今年度,実験条件が確立できたので,次年度はより定量的な実験を行う.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初,予定していた実験内容について検討したところ,検出の可能性が低いことが分かった.そのため,今年度は新たな実験系を用いて研究を進めることとした.特異抗体を用いる必要があり,線虫タンパク質に対する抗体作成あるいは他の生物タンパク質に対する市販抗体の活用について検討する必要があった.多種類の市販抗体の特異性についての検討が中心になったことから,やや遅れる結果となった.
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Strategy for Future Research Activity |
特異抗体の反応特異性について確認でき,市販抗体の使用が可能であることが分かったため,抗体による検出系が使用できる.分析に必要な線虫の卵の量を含め,分析条件を確定できたため,実際の定量的な比較解析を急ぐこととする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の研究計画を変更したため,予定した通り研究の結果が得られなかった.そのため,主に成果発表等に予定していた学会に出席するための旅費等を使用せずに,次年度繰り越しとした. 今年度は,修正した計画を着実に実行するため,繰り越した金額は計画変更に伴い必要になった電気泳動および抗体等の消耗品の購入および成果発表に使用することにする.
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Research Products
(2 results)