2013 Fiscal Year Research-status Report
二酸化炭素を原料とした共重合ポリエステルの生合成に関する研究
Project/Area Number |
25550096
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
松崎 弘美 熊本県立大学, 環境共生学部, 教授 (30326491)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 生分解性プラスチック / ポリヒドロキシアルカン酸 / 二酸化炭素 |
Research Abstract |
水素細菌Ralstonia eutrophaは従属培養および独立培養の栄養制限下において、硬くて脆いPHAであるポリ(3-ヒドロキシ酪酸)、P(3HB)、を合成する。炭素数4~12の3-ヒドロキシアルカン酸(3HA)をモノマー単位とするP(3HB-co-3HA)共重合体は丈夫でしなやかな物性である。この共重合PHAをR. eutrophaの組換え株を用いて二酸化炭素から合成することが本研究の目的である。 第一に、Pseudomonas sp. 61-3由来の低基質特異性のPHA重合酵素(PhaC1)、重合酵素の基質となる炭素数6以上の3-ヒドロキシアシルCoA(3HA-CoA)を脂肪酸合成経路から供給する3-ヒドロキシアシルACP:CoAトランスフェラーゼ(PhaG)、3HBユニット供給系酵素(PhbAB)の遺伝子に加え、Pseudomonas aeruginosaのゲノムDNAより推定3HA-CoAリガーゼ遺伝子(PA3924)を導入した組換え大腸菌を作製した。この組換え大腸菌はグルコースを唯一の炭素源として培養した結果、炭素数8~10(極微量の炭素数12および14を含む)の3HAユニットが5.4 mol%取り込まれたP(3HB-co-3HA)共重合体が合成された。これにより、PA3924が3HA-CoAリガーゼ活性を有することが明らかとなった。また、この共重合体の破断伸びは186%であり、P(3HB)ホモポリマーの5%と比べて丈夫でしなやかな素材であった。 現在、これらの遺伝子を導入した組換えR. eutrophaの作製を行うとともに、Pseudomonas sp. 61-3の3HA-CoAリガーゼ遺伝子のクローニングを進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大腸菌を宿主とした場合、脂肪酸合成経路を介した共重合PHAの生合成に成功した。しかしながら、Ralstonia eutrophaを宿主として、二酸化炭素を原料とした場合に合成されるPHAは、今のところP(3HB)ホモポリマー、あるいは、中鎖長3HAが微量取り込まれた共重合PHAである。実用的なポリエステルを合成するためには、3HA分率を5~10 mol%程度まで高める必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
導入する3HA-CoAリガーゼ遺伝子をP. aeruginosa由来のものからPseudomonas sp. 61-3由来のものに置き換えるなどして、R. eutrophaの分子育種をさらに進める。また、培地成分や培養温度など組換えR. eutrophaの培養条件について検討し、二酸化炭素や糖からの中鎖長3HA分率を高めた共重合PHAの合成を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初購入予定だった機器よりも高性能のものが学部共通機器として購入できたため、購入する必要がなかった。さらには、本研究には高額な消耗試薬を使用するため、その費用として次年度に繰り越す必要があったため。 次年度に繰り越した研究費の大半は物品費(ほとんどが消耗品)に使用する予定である。
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