2013 Fiscal Year Research-status Report
被災地の「環境復興」を促す社会科学的研究-持続可能・自立的地域社会モデルの構築-
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25550104
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
渡邉 聡 名古屋大学, 経済学研究科(研究院), 助教 (80584896)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 洋枝 南山大学, 総合政策学部, 講師 (70611094)
松野 正太郎 名古屋大学, 環境学研究科, 助教 (60547503)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 社会関係資本 / 後方支援 / 官民連携 |
Research Abstract |
平成25年度の研究において、災害復興における持続可能な復興の在り方(環境復興)を検討するために、岩手県をケースとして、後方支援に携わっている各セクター(自治体・NPO)の職員・スタッフに対するヒアリング調査を行った。ヒアリング調査の結果、(1)県レベルでの震災後の復旧・復興策について、進捗状況はがれきの撤去については平成25年度末の段階でほぼ完了している一方、資本ストックの復旧に着手していること、また雇用や住民の転居による被災地の空洞化の問題が課題となっていることが明らかになった、(2)自治体レベルでの震災後の復旧・復興策について、後方支援拠点として遠野市が機能した理由は、歴史的に遠野市と沿岸被災地の間でヒト・モノの交流があったことに加え、震災前の段階で遠野市の後方拠点構想による協定作りが進められていたことなど、沿岸自治体との間で社会関係資本の構築が大きく機能したことが明らかになった、(3)NPOレベルでの震災後の復旧・復興策について、遠野市の震災復興支援NPOである「まごころネット」を対象にヒアリングした結果、震災直後の復旧段階から現在の復興段階へ支援の内容やそこで必要となる人材について変わりつつあること、さらにはそれらを支える資本(物的、人的、自然資本)とそれらをつなぎ合わせる社会関係資本をどのように構築していったかが明らかになった。 このほか災害からの復興について、(1)環境復興の考え方について、環境汚染からの地域再生の姿を考えた「環境再生」研究の先行研究との対比での検討、(2)被災地の自治体の主要社会経済指標から、自治体の持続可能性についての考察、以上2点のの研究を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究一年目に計画していた被災地の第一回現地調査について、調査に入るまでの先行研究のサーベイと調査対象の選定について25年度末に行ったため当初の計画からはやや遅れている。これらは年度末までにほぼ終えているので、26年度中に調査を実施することを計画しており、26年度中に当初の計画通りに終えられると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度においては「4資本、特に社会関係資本から見た復興段階における後方支援のあり方モデル」として研究を進めていく。25年度のヒアリングから分かったことは、「復興期のサポートの課題は人材(専門家・ノウハウの蓄積)と資金(雇用・資本形成)」ということで、支援する側・される側の双方にとっての復興とは、(1)経済面において、復興予算と地域計画、ボランティアによる支援(贈与経済)の自律的復興における問題点、(2)心理面において被災地と非被災地との復興の意識差(復興意識調査との比較、共通する部分は適宜使う)、(3)政策面において復興段階の後方支援のあり方(阪神・中越などとの比較)といったことが研究課題となる。26年度中に夏に「まごころの郷」(大槌・陸前高田・上長部)などでの社会調査を実施する計画を進めている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
26年度において岩手県遠野市および釜石市・大槌町の沿岸被災地を中心に被災地の現地調査を行う予定であり、それらの調査旅費、ならび調査に従事する人件費やほか調査関連費が必要である。その他引き続き本研究に関連する文献・資料の収集のための費用、学会・研究会発表のための旅費などが必要になる。 夏(8月末-9月初旬)に岩手県の大槌・陸前高田・上長部にある復興支援の取り組みである「まごころの郷」などでの社会調査を実施する。その他、調査に関しては郵送法やネット調査による追加調査を行う場合もある。また、文献調査費用、学会・研究会発表のための旅費を予定している。
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Research Products
(7 results)
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[Presentation] Procedural fairness and social acceptance of the Deliberative Poll on future energy and environmental policy2013
Author(s)
Maeda, H., Hirose, Y., Ohnuma, S., Sato, K., Nonami, H., Sugiura, J., &
Organizer
10th Biennial Conference on Environmental Psychology
Place of Presentation
Otto von Guericke Universität Magdeburg, Germany
Year and Date
20130923-20130923
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