2014 Fiscal Year Research-status Report
ビタミンC生合成不全は思春期における不安症及び鬱病の発症リスク因子か
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25560047
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
松田 美和子(小泉美和子) お茶の水女子大学, リーダーシップ養成教育研究センター, 講師(研究機関研究員) (30373301)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 恵美子 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 教授 (80154524)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ビタミンC / 社会的心理ストレス / 不安様行動 / 抑うつ症状 |
Outline of Annual Research Achievements |
ビタミンCが不安および抑うつ様行動に対して調節的役割を果たしているか否か検証するため、ビタミンC充足期間と欠乏期間の行動指標を比較した。ヒトと同じく体内でビタミンCを合成できないGNL/SMP30-ノックアウトマウスを用いた。思春期の成育環境-特に社会的心理ストレスは情動に大きな影響を及ぼすため、社会的つながり-すなわち仲間構成の異なる2種類の成育環境にマウスを分類し、雌雄にみられるストレス応答の違いも検討した。 仲間構成が常に同じ成育環境で育った安定群は、頻繁に仲間が入れ替わる不安定群に比べて、新規に暴露されるストレッサーに対する感受性が高く(ストレスに脆弱であり)、特にそれは雄マウスで顕著に観察されることがわかった。ビタミンC充足期間から欠乏期間に切り替えたことで、不安様行動と抑うつ様行動は悪化し、特に雌マウスでは不安様行動の指標となる新奇環境摂食抑制テストの潜時が延び、雌マウスの全てが計測時間の最大値に達した。 実験終了時(ビタミンC欠乏後)の血中ビタミンCは枯渇しており、脳内ビタミンC濃度およびグルタチオン濃度も実験開始前に比べ減少していた。また、情動に密接に関与する脳部位ー前頭皮質と海馬における酸化ストレスを検討したところ、実験開始前に比べて実験終了時(ビタミンC欠乏後)の過酸化脂質濃度は著しく高くなっていた。前頭皮質と海馬におけるセロトニンとドーパミン濃度を検討した上、研究をまとめる予定でいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ビタミンCを生合成できないGNL/SMP30-ノックアウトマウスを用い、体内からビタミンCを枯渇すると不安様行動と抑うつ症状が悪化することを証明した。情動行動の変化とあわせて、脳内の酸化還元バランスを司るビタミンCおよびグルタチオン濃度が低下すること、さらに酸化ストレスが亢進していることも示すことができた。 上述のビタミンC欠乏による情動行動の変化に関して、国内学会および研究委員会で報告をおこなった。
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Strategy for Future Research Activity |
脳内ビタミンC濃度の低下により、神経伝達ネットワークが障害される可能性を考えている。情動行動の調節に密接に関与する前頭前野と海馬におけるセロトニンおよびドーパミン濃度を測定する。 研究成果を取りまとめ、学術雑誌および国際会議にて報告する予定でいる。
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Causes of Carryover |
これまでの研究成果を学術雑誌に投稿したが、次年度に渡り内容修正を継続することになった。国際会議での成果発表も次年度に採択確定した。また、脳組織サンプルにおける神経伝達物質の定量が予想より時間を要したため、次年度に解析することになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に、当該研究成果を学術雑誌および学会で発表し、神経伝達物質の定量をおこなうこととする。未使用額はそれらの経費に充てることを希望する。
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Research Products
(4 results)