2014 Fiscal Year Research-status Report
脳科学的検証にもとづくイメージトレーニングによる発声訓練法の開発
Project/Area Number |
25560265
|
Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
大西 英雄 県立広島大学, 保健福祉学部, 教授 (10326431)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城本 修 県立広島大学, 保健福祉学部, 教授 (00290544)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | fMRI / チューブ発声 / 発声想起 / 発声訓練法 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトの発声の脳による制御機構について機能的磁気共鳴画像装置(functional Magnetic Resonance Imaging: fMRI)を用いて脳科学的に解明し,発声に関する脳機能の基礎的研究を目的とする.昨年度において、発声課題と発声想起課題共通の賦活部位は,上前頭回,上・中側頭回,内側前頭回,角回,縁上回,帯状回が観察された。今年度は、その結果をふまえて、同じ課題を発声想起における脳賦活部位を,訓練群と非訓練群で比較し,訓練効果を評価するために,訓練前後の母音/u/の音響分析を試みた。具体的には、前年度と同じくストローをくわえた状態での発声を行い、また同時に発声想起(実際には発声しない)の脳賦活部位の検討を行った。健常者15名で訓練群7名、非訓練群8名を対象として実験を行った。訓練群には、実験開始前に、チューブを加えたままで発生訓練を100回試行させた。各実験群に対し,発声課題は,被験者に6秒間/ u /と声を出させ、発声想起課題は,被験者に6秒間声を出している状態を想起させた.脳賦活部位の同定は、FWEの有意水準5 %(p < 0.05)にて集団解析を行った。チューブ発声法の訓練有無の比較は,訓練群は新たに上前頭回,中側頭回,帯状回の賦活が認められ,チューブ発声法の訓練は有効であると示唆された。また、音響分析において、個人差はみられるが,被験者9人のうち6人は,訓練実施により,基本周波数と第1フォルマントが近接し, 3000Hz付近に付加的なフォルマントが生じる傾向がみられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、予算の関係で新規の物品購入は多くなく、課題提示ソフトの使用契約などを行った.撮像プロトコルに関しては、我々が提案した半事象関連(semi-event related:semi-event)デザイン法の検証を行うことが出来た.昨年同様に、発声に関しては横隔膜の動きでモニターする方式(ベローズ)を使用したが、発声の音域や周波数特性に関しては、評価出来なかった.訓練群と非訓練群での評価は、脳機能評価と音響分析からの結果から、訓練の有用性も検証できたと考える.今年の計画の達成度は約80%であると考える.全体的に、2年間を通じて発声課題及び発声想起課題での脳賦活部位の同定が可能となり、また、訓練及び非訓練群での評価も出来、全体の研究の達成は、初年度であるが、ほぼ方向性が見えてきているので80%程度できていると考える.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の方策としては、発声課題と発声想起課題共通の賦活部位の同定はほぼ確定し、その後の訓練法に関する研究も、チューブ発生法の訓練群と非訓練群に分離してデータ解析を行った.実際の音声の音響分析を試みて、発生訓練の有効性を周波数解析の見地からも、Computer Speech Labを使用して、発声の基本周波数と第一フォルトマンの強度などの検討をした.しかし、訓練の内容やチューブ自体の形状に関する研究がまだ出来ておらす、今後の検討が必要だと感じる.また、基本的に、被験者数を増加させて十分検討を加えたいと考えている.これらの結果及び考察を元に論文化を進め、研究成果を公表したいと考えている.
|