2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25560297
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
日高 昇平 北陸先端科学技術大学院大学, 知識科学研究科, 助教 (50582912)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤波 努 北陸先端科学技術大学院大学, ライフスタイルデザインセンター, 教授 (70303344)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 身体運動 / 模倣 / フラクタル次元 / 点次元 / ベイズ統計 / 国際研究者交流 / アメリカ合衆国 |
Research Abstract |
本研究は社会的な学習メカニズムの解明を目指し、その一つの基礎となる身体動作の模倣の計算論的モデルの構築を目的として行った。身体模倣の実現には、複数の感覚器・効果器の間で、さらに自己と他者の間で表現を変換する必要があり、高度な計算過程を要する。制御理論に基づく既存手法では、十分な情報が与えられた下での、精密な運動制御を可能とする。しかし、既存手法では、完全な情報が得られない他者の運動から、身体的な制約の異なる自己の運動への対応付けは困難である。本研究は、異なる身体間の複数の感覚器・効果器上の運動パタンが、力学的な位相空間に変換できる事に着目し、この位相構造の類似性に基づく模倣学習理論を提案する。 この研究目標に対し、平成25年度の研究では、力学系の不変量の一つであるフラクタル次元を推定する方法の開発に注力した。従来法と異なり、新たに開発したフラクタル次元推定法は、集合の各点の近傍の測度によって定義される点次元を理論的な基礎として、測度のフラクタル次元(あるいはフラクタル次元の分布)が推定できる。その結果、あるデータに反映される測度が複数の異なる次元を持つ場合、それらを近似的に検出し、その測度を次元的に異なる複数の系を検出することが可能となった。従って,この手法はモデルが明らかな対象のみならず、人の運動データなど多様な種類の非線形時系列に適用できる。本研究では、実際の身体運動データに対して提案手法を用いることで,身体運動に潜在する認知特性を検出し、また異なる運動の分節化が可能であることが明らかになりつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は一年目を経過した状況であるが、理論構築の基礎となる不変量推定に関して、既に理論構築、アルゴリズムの実装、その実データに対する応用・分析,などの段階まで進んでいる。従って,現在までの達成度はおおむね順調に進展していると判断した。こうした成果は以下で述べるとおり、論文および学会にて発表する予定である。 本研究で提案する次元推定法の理論的な内容は,既にジャーナルに投稿し,査読中である(プレプリントは以下で公開:Hidaka, S. & Kashyap, N. (2013). On the Estimation of Pointwise Dimension., eprint arXiv:1312.2298.).また、この推定法を実際に身体運動データに適用し,その応用範囲を確かめた研究を研究会および学会で発表した(予定を含む)(日高 昇平 (2013). リズム運動の次元:不変量による協調運動の分析., 第16回身体知研究会予稿集, 9-15. Hidaka, S., et. al. (2014). Characterizing Rhythmic Movements by Pointwise Dimensions., The 28th Annual Conference of the Japanese Society for Artificial Intelligence, 1M5-OS-05b-5. Hidaka, S., el. al. (2014). Dimensional Clustering: Analyzing Cognitive Processes by Fractal dimensions of Bodily Dynamics., The 31st Annual Meeting of the Japanese Cognitive Science Society.).
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、提案する次元推定法およびその理論をさらに多くの実データの分析に応用し、ヒトの実験データから目的とする模倣理論の構築を目指す。現時点では、この目的に照らし、まず1人のヒトの運動の基礎的なデータを収集中である。この個人の基礎データの分析から、複数人の間の身体運動の相互作用を調べる実験の設計を行う。次の段階では、複数人の身体運動の相互作用を定量化する実験データの分析から、両者の運動の類似性、タイミングの同期など、理論構築に必要な情報を抽出し、最終的には身体模倣の成立に関わる要因の洗い出しまで展開したいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度は理論構築を優先して実験的な検証を行わなかったため、実験参加者への謝金などの分が未使用となった。 本年度は実験的な検証等を行い、実験参加者への謝金などの分として繰越分を使用する。
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