2013 Fiscal Year Research-status Report
触力覚提示装置を用いた運動競技者と神経系疾患者の身体感覚の計測
Project/Area Number |
25560298
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
塗木 淳夫 鹿児島大学, 理工学研究科, 助教 (50336319)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 身体感覚 / 運動制御 / 感覚の減衰 / 運動競技者 / 神経疾患 |
Research Abstract |
触力覚・3Dバーチャルシステムを用いることで、一般的な検査で評価が難しい運動競技者の優れた感覚能力や神経系疾患の特徴抽出に対して有用な検査・診断システムを開発することを目的としている。平成25年度は触力覚、視覚、聴覚を提示可能な触力覚・3Dバーチャルシステムを利用した、マルチモーダルな情報処理特性を調べる事の出来る、簡便で非侵襲な検査・診断システムの開発を中心に行った。外部先行研究は、1台のモータからの力出力装置と制御用のジョイスティックを用いたシステムによって、感覚の減衰を評価するという、簡単なシステムであったが、本研究は3Dモニタと触力覚装置(最大7.9N、力分解能0.1N、位置座標分解能0.023mm)を用いる事で、視覚情報と触力覚情報を統合した環境を構築することが出来た。また、正常な被験者を用いて、感覚マッチングシステムの計測を行った。従来の感覚マッチングシステムは、手の指のみの計測しか出来なかったが、足の指なども計測できるシステムに拡張することが出来た。これによって、球技系の運動競技者と心因性ジストニア患者の評価手法を開発・モデル化を行うことが可能となった。正常被験者を用いたコントロール実験の結果、足の指においても手と同様に間隔の減衰を示すことが明らかとなった。ただし、手と足の示す感覚の減衰の傾向が違うことから、さらに研究を推し進めることによって運動感覚、運動制御に関する重要な知見が得られると予想される。運動動競技者は、優れた感覚を有しているため感覚の減衰は強いと予想されるが、特に難しい運動スキルの求められるサッカー選手の足指(細かい足の運動技術は、通常の人には馴染みがない)の感覚の減衰において健常者と異なる傾向を示すことが期待される。さらに、心因性ジストニア患者にも同様の測定を行うことによって、運動感覚、運動制御に重要な知見が得られると予想される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は、順調に進展している。その理由は以下のとおりである。 ・触力覚、視覚、聴覚を提示可能な触力覚・3Dバーチャルシステムを利用した、マルチモーダルな情報処理特性を調べる事の出来る、簡便で非侵襲な検査・診断システムの開発であった。上記のシステム構築に成功した。 ・作成したシステムを用いて、正常健常者を用いたコントロール実験も行うことが出来た。次年度に球技系の運動競技者と心因性ジストニア患者を対象とした実験を行うために重要な基礎データを取得することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、球技系の運動競技者と心因性ジストニア患者の評価手法を開発・モデル化を行う予定である。具体的には、前年度に作成した感覚マッチングシステムと触力覚・3Dバーチャルシステムを用いて、球技系の運動競技者の感覚の減衰計測とマルチモーダルな情報処理の特徴抽出を行う。運動競技者は、優れた感覚を有しているため感覚の減衰は強いと予想されるが、特に難しい運動スキルの求められるサッカー選手の足指(細かい足の運動技術は、通常の人には馴染みがない)の感覚の減衰や視覚と運動感覚の相互作用を調査する予定である。対照的に、心因性ジストニア患者にも同様の測定を行い、2群を比較する事で、運動感覚、運動制御に重要な知見が得られると予想される。平成25年度において、手の指と足の指において感覚の減衰に興味深い結果が得られており、研究の進展状況によっては、感覚の減衰や視覚と運動感覚の相互作用よりも、手の指と足の指における感覚の減衰について運動競技者と心因性ジストニア患者の特徴抽出を重点に行う細微の変更もあり得ると予想される。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定していた国際学会の出席が26年度になったために、その分の予算に残高が生じた。 当初予定していた国際学会の出席が26年度になったために、その分の予算に振り当てる。
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Research Products
(2 results)