2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25560427
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
丹羽 康貴 独立行政法人理化学研究所, 発生・再生科学総合研究センター, 研究員 (40590071)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 行動異常 / ドキシサイクリン |
Research Abstract |
今年度は、まずドキシサイクリン投与量の条件検討をするために,夜ふかし行動を示すトランスジェニックマウスの表現型の確認をおこなった。その結果,同じ遺伝子型を持つマウス個体間でさえ,夜ふかし行動を示す割合が半数以下であることが分かった。また、夜ふかし行動を調べるためには、明暗同調をおこなった後に恒暗条件にマウスをさらす必要があった。これらの二つの理由から、ドキシサイクリン投与量の条件検討をするための指標として夜ふかし行動を用いて実験を進めることは効率が悪いことが分かった。そこで、より簡便に調べられる行動異常を示す変異マウスの作製を行った。その結果、同じ遺伝子型を持つ個体間での表現型のばらつきが少なく、通常の明暗条件において、はっきりと表現型を示す変異マウスを得た。しかしながら、マウスの行動を測定するには生後2ヶ月ほど飼育する必要がある。そのため、多種類の条件検討をおこなうには、行動測定はやはり効率の悪い指標である。そこで、この変異マウス個体を注意深く観察していたところ、生後1ヶ月以内にすでに身体的な特徴があらわれることが分かった。この特徴と行動異常との因果関係は今のところ定かではない。しかしながら、この特徴を指標にすれば、マウス生後1ヶ月以内に、ドキシサイクリン投与量の条件検討を行い,その結果を得られることが分かった。そこで、5 ppmから200 ppmまでのドキシサイクリン濃度の餌を与え,その特徴が見られなくなるかどうかを調べた。その結果,これらの範囲でその特徴を抑えることができた。また、ドキシサイクリン濃度が高くなれば,ドキシサイクリンによる抑制効果が抜けるまでに時間がかかることが明らかになった。今後は、この情報を元に,さらに精密な制御を可能にするドキシサイクリン濃度と、その投与期間の詳細を調べていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初使用を予定していた夜ふかし行動を示す変異マウスが、表現型のばらつきが大きいことが分かり、表現型のばらつきが少なく、はっきりした行動異常を示す変異マウスを一から準備する必要があったため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初使用を予定していた夜ふかし行動を示す変異マウスよりも、より評価しやすい変異マウスの開発に成功したので、当初の実験計画を踏襲しつつ、引き続き実験をおこなっていく。そして、それらのマウスをもちいて、夜ふかし行動を決定する時期についての理解がより深められるような実験系を考え、適宜柔軟に実施していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初使用を予定していた変異マウスが、計画していた実験の条件検討には適さないことが判明したため、別の変異マウスを作製し、準備する必要があった。その結果、当初計画していた予定よりも、実験が遅れることになった。そのため、当初計画していた初年度の実験の全てをおこなうことができず、次年度使用額が生じた。 前年度計画していた実験の全てと、今年度計画した実験の全てを、新たに準備した変異マウスについておこなう予定である。表現型取得までにかかる日数や、表現型のばらつきが小さいため、それが可能だと考える。そのため、実施する実験は当初計画していたものと同じであり、全期間内で所要額の総額に変更は無い。
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