2014 Fiscal Year Research-status Report
忍者と探偵、近代日本におけるキャラクター表象の形成と海外伝播に関する文化研究
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25580058
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
吉田 司雄 工学院大学, 公私立大学の部局等, 教授 (50296779)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 文学一般 / 日本文学 / 大衆文化 / 忍者 / 探偵 / 国際研究者交流(台湾) / 国際研究者交流(韓国) |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年8月9日に公開シンポジウム「忍者と探偵が出会うとき」を北海道大学で開催した。これは科学研究費基盤研究(C)「メディア環境との相関性に基づく日本探偵小説の史的研究」(研究代表者=押野武志、課題番号 26370226)メンバーとの合同によるもので、研究代表者として「名探偵、「歴史」に挑む―『時の娘』あるいは忍者の抹殺」という題で基調講演を行ったほか、 忍者文化研究会のメンバーから乾英治郎が「芥川龍之介「報恩記」―芥川文学における〈探偵小説〉あるいは〈忍者小説〉の可能性」、今井秀和が「戦時下の忍者と軍事探偵(スパイ)―藤田西湖『忍術からスパイ戦へ』 を読む」という題で発表するなどした。2015年度も引き続き、合同シンポジウムを実現すべく準備に入っている。 また、12月12日、13日に台湾の国立中興大学で開催された国際シンポジウム「(去)疆界台灣文學研究的能動性」に参加し、「大衆文化研究の射程」という題で発表した。これは海外共同研究者の陳國偉氏が所属する中興大学台湾文学與跨国文化研究所の創設10周年記念として行われたもので、陳氏ら台湾の研究者と学術論集を二か国語で公刊すべく、2015年度も台湾で国際シンポジウムを開催する予定である。 さらに、5月24日、25日と聖心女子大学で開催された日本近代文学会春季大会でも久米依子氏、川端有子氏と「『赤毛のアン』をめぐる言語配置─物語とジェンダー」というパネルを組んで発表したが、日本における「赤毛」イメージの変遷についてシャーロック・ホームズ物の短編「赤毛同盟」の受容史について論じた部分は、本研究の一環をなすものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的に掲げたのは、「忍者」表象に関する国内研究者の共同研究の推進と、「探偵」表象に関する国際的な研究者ネットワークの構築であるが、前者については合同シンポジウム「忍者と探偵が出会うとき」でその成果の一端を示すことができた。後者についても、2015年度の台湾での学術論集刊行と国際シンポジウム開催へ向けて準備を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたる2015年は、科学研究費基盤研究(C)「メディア環境との相関性に基づく日本探偵小説の史的研究」メンバーとの合同シンポジウムを再び開催し、それを機に論集刊行への道筋をより明確にしていく。また、台湾で国際シンポジウムを開催し、中国語版に続く日本語版の学術論集刊行に向けて活動してゆく。
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Causes of Carryover |
2014年度の使用額はほぼ当初の予定通りであるが、2013年度に次年度送りとした分はほとんど使用しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度にあたる2015年度は国際シンポジウム参加等を予定しており、研究目的の一つである国際的な研究者ネットワークの構築と複数言語による成果公刊にむけて当初の予定以上に旅費支出等が予想されるので、有効に使っていきたい。
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Research Products
(5 results)