2014 Fiscal Year Research-status Report
社会への実践的還元を目指した日本語テクストの批判的談話分析基礎研究
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25580084
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
名嶋 義直 東北大学, 文学研究科, 教授 (60359552)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 批判的談話分析 / 批判的リテラシー / 公共メディア / 新聞 / 読者の解釈 |
Outline of Annual Research Achievements |
2013年度の研究成果を発展させ,2014年度には,7月にシドニーで開催された日本語教育国際研究大会でパネル発表を,8月にインドネシア・バリで開催されたアジア未来会議でポスター発表を行った。国内においては2015年2月に琉球大学で開催された研究会において口頭発表を行った。シドニーと琉球大学での発表は,単なる批判的談話分析の研究成果発表に留まらず,日本語教育,特に読解教育と関連させることの重要性を主張したもので,言語学分野のみならず言語教育分野にも影響を与える研究として意義が認められる。そのような学際的な研究は少なく重要であると考えられる。当初の計画では3年次に研究成果をまとめ書籍を出版する予定であったが,1年次・2年次と計画以上に研究が進展し,2015年3月に共編著の書籍を刊行することができた。この書籍は批判的リテラシーの涵養を目的としたもので,学術書ではなく一般向けの書籍である。研究成果を広く社会に還元するものであり,その意義は大きい。実際に刊行後,大手通販サイトのランクでも「メディアと社会」のカテゴリーでしばしば上位に位置しており,その重要性が認められる。2015年3月22日には,さらなる社会への成果還元と発信を目的とし,仙台市において一般市民公開で国際シンポジウムを開催した。ドイツ・オーストラリアの日本人研究者と国内研究者5名の7名が登壇し,さまざまな観点・トピックで批判的リテラシーの重要性や実際の情報の読み方を紹介した。全国から研究者や一般の聴衆が参加し,二回目の開催も要望されるなど成功裏に終了した。3月29日には科学者の会議で講演を行った。このように,2014年度に実施した研究の成果は,学術的・教育的・社会的にも大きな意義があるものであり,社会への実践的還元という本研究の目的からみて,その重要性を充分に認めることができるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度に予定していた研究計画はすべて実施することができ,かつ,大きな成果を得ることができた。国内学会で1回発表する予定であったが,実際は国際会議において2回発表することができた。最終年度に出版する予定であった書籍も本年度に刊行することができた。理系の科学者が中心の会議から講演依頼を受けて発表をしたり,一般市民が多く参加する国際シンポジウムを企画運営するなどして,言語学研究の成果を,学問領域を超えて,また,社会に対して発信し公開することができた点も,社会への実践的還元という本研究の目的からみて,当初の計画以上の成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度は研究の最終年度である。研究が当初の計画より進んでいるため,新しい小テーマを選択し,より多面的な考察を行い,更なる研究の進展を目指したい。具体的には,本報告書作成時点で,すでに2つの国際会議に応募済みであり,6月には学際的なシンポジウムへの登壇依頼を受けている。研究成果の公開と発信,社会への実践的還元という点からは,3月22日に開催した国際シンポジウムの内容を講演記録書籍として刊行すべく企画を提出中である。
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Research Products
(14 results)