2015 Fiscal Year Annual Research Report
ロシア所蔵資料の実見調査に基づく西夏文字草書体の体系的研究
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25580087
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
荒川 慎太郎 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 准教授 (10361734)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 貴保 盛岡大学, 文学部, 准教授 (40403026)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 西夏 / 西夏語 / 西夏文字 / 草書体 / 文献学 / 西夏仏教 |
Outline of Annual Research Achievements |
国外の研究機関において、西夏文字草書体資料の実見調査を行い、研究成果報告書「ロシア所蔵資料の実見調査に基づく西夏文字草書体の体系的研究」にまとめ、これを年度内に刊行した(2016.3.3)。 荒川・佐藤貴保(研究分担者:盛岡大学)は、種類・分量共に草書体資料の充実した、ロシア科学アカデミー東洋文献研究所(ロシア、サンクト・ペテルブルク市)にて、所蔵資料に関する実見調査を行った。また、敦煌石窟に書かれた草書体題記なども調査した。 荒川は主に仏典(一部の仏典は楷書体刊本・草書体写本ともに残る)を対象とした調査を行った。研究成果報告書に掲載した、「河西地域石窟の西夏文題記に関する覚書(4)」「西夏の「砲」設計図について」「2014年における『文字鏡』西夏文字フォントの修正と追加について」は、一連の研究と関連分野の成果である。 佐藤・冨田(小野)裕子(研究協力者:岡山理科大学附属中学校)は、草書体で書かれた法令集の調査・研究を行った。研究成果報告書、佐藤「西夏文草書体官文書の解読に向けて-法令集を用いた崩し字用例の収集と分析-」は、官文書の多くに使われている草書体の西夏文の解読が進んでいないことを指摘し、軍事や行政に関わる術語や定型句が草書体でどのように書かれるかの用例を求めた。研究成果報告書、小野「西夏語草書体文献『亥年新法』巻四の条文解読・復元-第七条~第十条-」は、法律文書中の草書文献『亥年新法』を扱い、難解な判読と翻訳作業を、数種の文献の文字を比較対照することで可能にした。 本科研でのこうした研究活動によって、西夏の歴史、言語、文字、仏教などの研究に一定の貢献をなす成果が得られたものの、草書体西夏文字のヴァリエーションは当初の想定を超える多様性を見せたため、草書体資料の作成は限定的なものに留まった。将来的には本研究の成果を活かし、西夏研究に資する字典・資料集の公刊に努めたい。
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[Presentation] 日本西夏学研究現状2015
Author(s)
荒川 慎太郎
Organizer
西夏語言与文化学術研討会
Place of Presentation
寧夏大学西夏学研究院,銀川,寧夏自治区,中国
Year and Date
2015-12-10 – 2015-12-10
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