2013 Fiscal Year Research-status Report
移民アーカイブズの標準化モデル構築に向けての実践的研究:日系ブラジル移民を対象に
Project/Area Number |
25580149
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
青木 祐一 学習院大学, 文学部, 助教 (50632676)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アーカイブズ / アーカイブズ学 / 移民史料 / 日系移民 / ブラジル |
Research Abstract |
本研究は、日系ブラジル移民関係資料について、民間レベルで移民事業に関わった機関・団体において作成・蓄積された記録史料群(アーカイブズ)を対象に、アーカイブズ学の手法を用いた整理、記述・編成、保存、公開方法の検討等を通じて、「移民アーカイブズ」の構築を目指すものである。 国内調査については、主な調査対象となる日本力行会(東京都練馬区)所蔵「永田文書」の状況把握と目録補足作業を実施し、資料群全体の概要把握をほぼ終えた。今後、簿冊内の個別件名目録等の作成を進め、公開に向けての条件や保存環境の検討・整備を行っていく予定である。また、補足調査として、エリザベス・サンダース・ホーム(神奈川県大磯町)所蔵のブラジル・トメアス移住地関係資料(12月)、長野県立歴史館所蔵「信濃海外協会・信濃海外移住組合関係資料」(8月)等の調査を実施した。 海外調査については、3月にブラジル・サンパウロでの現地調査を実施した。サンパウロ人文科学研究所を訪問し、同研究所が設立以来収集したブラジル移民史関係資料、研究活動に伴って発生した資料、近年受け入れている寄贈資料等の現状について確認した。その上で、所蔵資料の全体像を把握するための概要調査に着手し、一部について概要目録の作成と、以後の調査の見通しについて検討した。今後は、同研究所所蔵資料の概要目録を完成させ、研究所における資料の保存および利用体制の整備について検討、提言を行っていく予定である。 また、現地で暮らす日系2世が所蔵する個人資料の所在情報を得たため、同家を訪問し、移住前の日本国内での生活、渡航の経緯、移住後のブラジルでの生活といった、移民個人の履歴や活動が判明する資料の存在を確認した。加えて、補足調査として、ブラジル日本移民史料館、ブラジル力行会を訪問し、両機関における資料の保存状況や、他機関における移民関係資料に関する情報を収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
主な調査対象としている日本力行会、サンパウロ人文科学研究所ともに、資料群の全体像を確認し、概要を把握することができた。今後は本調査の段階に入り、資料の保存、公開・利用といった観点から、目録作成や保存環境、公開に向けての条件等の整備について検討していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の調査成果をもとに、今後は本調査を実施していく。具体的には、日本力行会所蔵資料について、詳細な内容目録の作成と保存環境の整備、サンパウロ人文科学研究所所蔵資料については、概要調査を継続して概要目録の完成を目指す。どちらについても、資料の保存、公開・利用といった観点から、資料を永続的に保存し、一般への公開・利用に向けての条件の整備等について検討する。また、必要に応じて、国内の海外移民関係資料を所蔵する機関に対する補足調査を実施する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費、特に資料保存用品(中性紙封筒およびアーカイバルボックス等)の購入を次年度に見送ったため。加えて、調査に係る謝礼等の支出が想定を下回ったため。 資料保存用品(中性紙封筒およびアーカイバルボックス等)を中心とした必要物品を購入し、資料の保存環境整備を行う。この作業に伴い、人件費等も発生する見込みである。また、今年度もブラジル・サンパウロでの現地調査を実施するとともに、必要に応じて国内での補足調査を実施する予定である。
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