2014 Fiscal Year Research-status Report
ポスト震災社会を生きる人々の共同性と縁に関する社会心理学研究の試み
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25590156
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
伊藤 哲司 茨城大学, 人文学部, 教授 (70250975)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ポスト震災社会 / 共同性 / 縁 / 社会心理学 / 社会的ネットワーク / 復興支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
東日本大震災および福島第一原発の事故が社会に及ぼした影響については、サステイナビリティ学などの学術的な観点からの真摯な検討が必要である。本研究は、ポスト震災社会のなかで人々がどのようにそのダメージから回復しようとしているのか、いくつかのフィールドワークを通した事例研究を行うと同時に、それらに基づき共同性と縁に着目した理論的検討も行うものである。社会心理学基本概念とする「社会的動物としての人間」という見方を踏まえ、ポスト震災社会に生きる私たちの共同性と縁について、社会心理学の立場から問題提起を行う。私たちは縁ある人々とのつながりのなかで自己を回復し、あらたに「安全・安心社会」を紡ぎ出していくしかない。本研究は、得られた知見を踏まえ、その点にも積極的に言及していくものである。 2年目の昨年度(平成26年度)は、NPO法人とみおか未来子どもネットワークが中心となって企画した「おせっぺとみおか」(全町避難を強いられている福島県富岡町の年長者に対し、町出身の若者が聞き書きをする事業)にサポーターとして関わり、その様子を観察・記録した。また、以前から関連の深いベトナム・ハノイにあるベトナム社会科学院東北アジア研究所でベトナムの研究者とも議論を行った。また、松山で行われた日本質的心理学会第11回大会で(独)国立精神・神経医療研究センターの川野健治氏と企画した「被災地の復興の経験とは何か」というシンポジウムを開き、「おばちゃんたちの交流「サンガ岩手」を取材して」というタイトルで発表し、議論に加わった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
系統立ったインタビューなどはできていないところがあるものの、海外(ベトナム)を含め学会等での議論・発表をこなし、そこまでで得られている知見を元に議論に参加することまではできている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度に入るので、体系的なまとめが最後にできるように、8月・9月あたりを中心としてなお欠けている部分のインタビュー調査等を実施する。日本質的心理学会第12回大会(宮城教育大学)でも発表し、この科研費研究の範囲でのまとめを約1年後にはだせるように進めていく。
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Causes of Carryover |
初年度からの繰り越しが25万円近くあり、もともとの今年度分より多めに執行したが、それでも上記金額を執行しきれなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度の予算に加えて適切に執行する。旅費や調査手伝い補助などに使用する見込みである。
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