2014 Fiscal Year Annual Research Report
進化的視座から脚式ロコモーションの統一的理解を目指す数理的研究
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25610033
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小林 亮 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (60153657)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石黒 章夫 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (90232280)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 脚式ロコモーション / 数理モデル / スナガニ / 進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
スナガニの歩行・走行を記述する数理モデルを構築した。水平方向のみの運動量の流れのみを記述することで、1次元的なシンプルなモデルになっている。このモデルによって、速度の増加とともに使用脚数が減少し、かつデューティー比が減少していくという現象を再現するとともに、その理論的な解釈を与えることができた。また、同側の脚はできるだけ反位相に動かす方が速度を稼げるということも示された。これにより、トロット的歩容は観察され、ギャロップ的歩容が見られないことの理由も与えられた。 小さいデューティー比を実現するには、鉛直方向に大きな運動量を流し込む必要があり、そのためには強い瞬発力を出せる強力な脚が必要となる。このモデルの示すところは、少数の強力な脚を持つ方が、多数のあまり強力でない脚を持つより高速度が得られるということである。脚歩行を行う動物が、より速い移動速度を実現する方向に進化しようとするならば、脚に振り向ける資源を多くの脚に分配するよりも、少数の強力な脚に投下する方が有利であることを示すことができた。 生物の進化をロコモーション(特に脚歩行)の観点から見直した。進化に関しては、近年の分子系統学の進歩で、従来の定説が覆されたりする状況が多々あり、明確な進化系統樹が描ききれていないようで、考えていたより状況は複雑である。それでも、進化のパスが明確に結ばれているところでは、当初立てた仮説である「進化とともに脚数は減少する」というテーゼは、ほぼ間違いなく成立していることを確認した。このことは上記の理論解析の帰結と整合する。 動物の運動と制御を考えるには、運動量の流れと情報の流れを同時に記述し、解析できるような記述法が必要である。我々は、力学モデルを等価回路に変換し、制御経路と重ねる Dynamic Flow Graph というプラットフォームを提案した。
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Research Products
(9 results)