2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25610095
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
前野 悦輝 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80181600)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米澤 進吾 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (30523584)
中村 文彦 久留米工業大学, 工学部, 教授 (40231477)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 一軸性圧力 / モット転移 / ルテニウム酸化物 / スピン三重項超伝導 / ピエゾ素子 |
Research Abstract |
遷移金属酸化物の新しい物性を引き出す一軸性圧力印加の技術を飛躍的に高め、その有効性を実証する目的で、層状モット絶縁体Ca2RuO4 およびスピン三重項超伝導体Sr2RuO4での研究を行った。 ①遷移金属酸化物への一軸性圧力印加技術確立: ●a. Ca2RuO4 単結晶育成技術: 浮遊帯域法(FZ法)での冷却過程改善でさらなる良質化に成功した。●b. 一軸性圧力印加装置: 従来装置の改良と共に、英国グループからの支援で、ピエゾ素子を用いた伸縮両方の新方式歪印加装置も開発・製作した。 ② Ca2RuO4 のab 面内一軸性圧力効果: ●a. モット転移: 静水圧よりも低い一軸圧力で金属化に成功した。●b. 強磁性転移: 低温金属強磁性相の誘起に関し、圧力依存性が定性的に異なる面内異方性を見出し、双晶界面方向との関係で説明した。 ③ Ca2RuO4 のc軸方向一軸性圧力効果: 金属のSr2RuO4 に比べ、Ca2RuO4はc軸方向に縮んで絶縁化する。しかしさらなるc軸方向圧力では絶縁エネルギーギャップが低下する意外な事実を定量化し、バンド幅と結晶場の競合での定性的説明を行った。 ④ Sr2RuO4の超伝導一軸性圧力効果: ●a.面内異方性: <100>方向でのみ、超伝導転移温度倍増の「3-K超伝導相」が僅かな圧力で可逆的に一気に誘起されることを見出し、Ru-Oボンド長変化の重要性を明らかにした。●b.伸・縮歪効果: 超伝導転移温度が、<100>方向の伸びと縮みの両方で上昇する特異な振舞を明らかにし、2成分超伝導秩序変数の「カイラル超伝導」の特徴を顕在化させた。この成果はH26年度初頭にScience誌に発表した。C. Hicks, S. Yonezawa, Y. Maeno, A.P. Mackenzie et al., Science 344 (2014) 283-285.
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Research Products
(3 results)