2016 Fiscal Year Annual Research Report
Micro-droplets levitated over hot water: Physics of coffee steam
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25610124
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中西 秀 九州大学, 理学研究院, 教授 (90155771)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 正敏 京都大学, 理学研究科, 講師 (40403919)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 微小水滴 / 茶碗の湯 / 表面張力波 |
Outline of Annual Research Achievements |
コーヒーなど熱水に観察される、表面直上に張りついたような白い湯気の膜とそれにできる亀裂は、寺田寅彦の有名なエッセー「茶碗の湯」にも記述がある。この現象について、実験的観察と理論的考察を行った。 顕微鏡による予備的な観察で、白い膜は熱水直上に浮遊している直径10μm程度の水滴の集まりで、それらは互いに反発しており、亀裂が走るように見える現象は、水滴の集団落下であることが分かっていた。 本研究では、自作の実験系をもちいて実験条件をコントロールし、様々な実験条件の下で、湯気の膜及びそれに走る亀裂現象を高速ビデオカメラで観察した。 その結果、水滴は50℃程度以上の熱水で観察され、直径分布の幅は平均の20%程度で大きさはほぼそろっており、平均は直径10~30μmで水温とともに大きくなる。亀裂が走るように見える集団消滅現象は、一つの水滴の消滅によって引き起こされ、その前線は速さ1~2m/sで伝播し、表面波を伴っている。集団消滅の前線は水滴をすべて消滅させるわけではなく、通過後にも多数の水滴のクラスターが残っている。浮遊水滴の水面からの高さの測定はできなかったが、顕微鏡の焦点深度を調節するなどして、10~100μmの間と推定した。界面活性剤を添加しても、現象は大きく変化しなかった。 集団消滅の伝播速度は波長1mmていどの水の表面波の速度と同程度で、実験観察から得られた水滴の面密度などのパラメタを用いて、定常伝播の波高を見積もったところ、水滴の直径の30倍程度になり、水滴の消滅により誘起される表面張力波によって、水滴の集団消滅が引き起こされているとの仮説と矛盾しないことが分かった。 この研究では、水滴の浮揚メカニズム、集団消滅のきっかけとなる最初の水滴の消滅の原因、粒径分布の幅が狭い理由、などは解明できなかった。
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Remarks |
一般向け講演を行った。 市川正敏、2017.03.04、静岡県立大学 一般公開 市民勉強会「生命と自然 -科学と技術の最前線-」、お茶とコーヒーの科学
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Research Products
(2 results)