2013 Fiscal Year Research-status Report
低摩擦耐摩耗ゴム系複合材料及び高摩擦耐摩耗プラスチック系複合材料の開発
Project/Area Number |
25630031
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
堀切川 一男 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60173605)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 健 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50332515)
柴田 圭 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60612398)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | トライボロジー / 複合材料 / 摩擦 / 摩耗 |
Research Abstract |
本研究では,一般的に高摩擦を示すゴム材料と低摩擦を示すプラスチック材料に対して,「摩擦調整剤」として,安価で低環境負荷な植物由来の低密度粒子系材料を充填することにより,従来の材料開発の方向とは全く逆方向の概念のもとで,低摩擦ゴム複合材料と耐滑プラスチック複合材料を開発することを目的とする. 平成25年度の研究実施計画としては,米ぬかを原料とする硬質多孔性の粒子を充填したゴム複合材料の開発・作製と,米ぬか粒子充填NBR複合材料の各潤滑下における摩擦・摩耗特性の解明の2点である.エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)をベースゴムとして,「摩擦調整剤」として米ぬかを原料とする硬質多孔性炭素粒子を混合し,成形することにより,EPDM複合材料を作製した.充填した炭素粒子の粒径は10 μm以下,充填率は5 mass%,10 mass%,20 mass%,40 mass%,60 mass%の5種類とした.また,ベースゴムの硬さとして,ショア硬さ50度,60度の2種類を用いた.これらの材料の機械的性質を測定した結果,充填率の増加に伴いショア硬さと圧縮弾性率は増加し,引張強さと破断伸びは5~20 mass%においてピークとなる傾向を示した.さらに,これらの材料に対して大気中無潤滑下における摩擦試験を行った結果,60 mass%の充填率において,0.25の摩擦係数というゴム材料として従来成し得なかった低摩擦を示すことが分かった.また,同充填率では摩耗も少なく,未充填のゴム材料の摩耗形態とは異なる摩耗形態が見られた.水潤滑下における摩擦試験では,特に低すべり速度領域において顕著に低い摩擦係数を示すことが明らかとなり,例えば起動・停止を繰り返す水中のしゅう動要素への応用の可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ当初の研究実施計画通りに研究が進んでいるため.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の研究実施計画としては,竹を原料とする多孔性の粒子を充填したプラスチック複合材料の開発・作製と同複合材料の摩擦・摩耗特性の解明,これまでに得られた結果のまとめと公表である.プラスチック複合材料の開発の開発において,ポリプロピレン(PP),ポリアミド66(PA66)及びポリエーテルエーテルケトン(PEEK)の3種類を用いて,これらのプラスチック材料に,「摩擦調整剤」として竹を原料とする多孔性粒子を充填し,ペレットを作製後,射出成形することにより,竹粉充填プラスチック複合材料を作製する.竹粉の平均粒径は100 μm,竹粉の充填率は10 mass%,30 mass%,50 mass%,70 mass%の4種類とする.これらの複合材料の引張強さ,弾性率,密度,ビッカース硬さを明らかにし,プラスチックへの竹粉粒子充填が機械的性質に及ぼす影響を明らかにする.また,作製された竹粉充填プラスチック複合材料に対して,大気中無潤滑下,水潤滑下,油潤滑下において摩擦実験を行う.この摩擦試験より,高摩擦・優れた摩耗特性が得られる竹粉の好適な充填率を解明し,同複合材料が摩擦材料として利用可能な条件を明らかにすることで実用可能性を明らかにする.さらに,摩擦面の詳細な観察を通して,竹粉充填がプラスチック材料の摩擦・摩耗特性に及ぼす影響を解明する. 平成25年度で得られた低摩擦ゴム複合材料の結果と平成26年度に得られる耐滑プラスチック複合材料の結果を合わせて,充填剤が摩擦・摩耗特性に与える影響を一般化し,公表する予定である.
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