2013 Fiscal Year Research-status Report
新しいトライボロジーメカニズムを秘めたサンドフィッシュの鱗のバイオミメティクス
Project/Area Number |
25630037
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
木之下 博 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (50362760)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | バイオミメティクス / ナノ・マイクロトライボロジー / 固体潤滑 / 摩擦メカニズム |
Research Abstract |
砂漠に生息するサンドフィッシュ (トカゲ)の鱗が低摩擦性と高耐摩耗性を有していることが,近年明らかとなってきている.本申請者もμN荷重でのこの鱗表面のトライボロジー特性を研究し,特異な性質を発見している.μN荷重では,他の材料,ポリイミドやPTFEなどが凝着力を持つにもかかわらず,サンドフィッシュの鱗では凝着力が無く,このことによってこの領域の荷重で,他の材料より低摩擦であることを見出した.本研究では,さらにnNやmNでのサンドフィッシュの鱗のトライボロジー特性について研究する. 本年では特にmN荷重でのトライボロジー特性について研究を行った.そして,サンドフィッシュの鱗は,比較材料として用いたポリイミドやPTFEなどと比べて,摩耗が生じる荷重が高く,摩耗量も小さい事ことを見出した.また摩耗が生じた時は他の材料では摩耗粉が摩耗痕に周辺に付着しているのに対して,サンドフィッシュの鱗では摩耗粉が摩耗痕の周辺に散乱し,脆性破壊されているような摩耗であることを発見した.これはサンドフィッシュの鱗が他の材料より硬いためと思われる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
mNトライボメータの作製を行い,mN荷重のトライボロジー試験について計画通り進んでいる.また鱗断面を観察する方法であるが,鱗を力学的に引き裂きその断面を見た方が,鱗の内部構造が詳細に表れることが分かり,計画のFIBや真空凍結割断を用いなくても良いことが分かった.またAFM観察やAFMを用いるnN荷重での観察が思ったほど進まなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はAFMを用いnN荷重でのトライボロジー特性について研究を行う.特にナノオーダーの表面観察はまだ世界中で行われたことが無く,今年度の前半に集中的に行う.それに附随して,nN荷重での摩擦特性の測定も行う.このnN荷重の測定では市販のシリコン製のチップの他に,シリコンにPTFEや石英、鉄などを付着させて材料を変化させた時の摩擦特性の変化を見積る。またmN荷重での実験と同じく,PTFEやポリイミドとの対比も行う.
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Research Products
(4 results)