2013 Fiscal Year Research-status Report
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25630072
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
内藤 健 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (30323174)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | エンジン / 燃焼 / 高効率 / 低騒音 / 自動車 / 航空機 / 発電 |
Research Abstract |
複数のパルス噴流を燃焼室中央部で衝突させ、そこに微小な高圧縮領域を生成すると同時に、騒音と既燃焼高温ガスをその中央部に封鎖させる新燃焼方式のエンジン実験を行い、「小型でも単体熱効率60%」のポテンシャルを確認することが、本研究の主たる目的である。なお、ディーゼル・ジェットエンジン等の従来自己着火方式は「同時多点」着火で急激な熱発生となるのに対し、本方式は、「一点」自己着火であること等もあって、騒音振動レベルが上がらないという特色を有している。新規構造ピストンを付加したシステムにより、原理的には、始動から数万rpmの広い条件範囲で高効率となり、しかも、自動車・発電・航空機の多用途で利用可能と考えている。初年度の研究成果を以下にまとめる。 ・理論による成果:従来のピストンエンジンでは、理論混合比に近づいて比熱比が小さくなるほど、圧力比が上昇せず、図示熱効率の最大可能値が60%程度と言われてきたが、本エンジン圧縮燃焼原理では、比熱比が小さくなっても得られる圧力比が下がらない可能性が見出された。よって、最大到達熱効率が80%程度まで可能性があることがわかった。 ・シミュレーションによる成果:過給器を併用した場合、ある程度の回転数・負荷条件範囲で、図示熱効率60%レベルの可能性があることがわかった。これによって、最大出力運転時の燃料投入量も、従来エンジンに比べて大幅低減できる見通しも得られた。 ・エンジン内壁に既燃焼高温ガスが接触しない理由や条件の大筋が解明された。 ・燃焼実験:A/Fセンサーなどを設置した。また、2つの成果を得た。ひとつめは、超小型エンジンでも、その始動時、グローやスパーク等の強制的な点火システムを一切用いずに、安定な始動ができる可能性を見出したことである。ふたつめは、従来の同サイズエンジンと同等(かそれ以上)の正味熱効率の可能性を得た点である。(詳細調査必要。)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
4つの目標・項目について、達成度を記す。 (1)熱効率・振動騒音・エミッションレベルの基本的評価:まず、自動車用では、アイドルから5000rpm程度までの回転数域で構造強度について問題ないことをモータリング試験で確認した。また、音速飛行レベル吸気量の燃焼実験が実施可能になった。 熱効率については、シミュレーションで、小型エンジンでも過給機があれば目標熱効率(60%)が可能になる見通しが得られた。始動時の燃焼試験で、従来エンジンレベルの熱効率が得られる可能性を得た。また、この新たな圧縮燃焼原理では、燃焼室中央部だけが高圧力になっており、相対的にシリンダー側壁やピストンリング付近の平均圧力は低いので、ピストンリングの数や摩擦力を低減可能で、正味熱効率と図示熱効率の差も小さくなることが原理的にわかった。燃焼騒音の明確な結論は出ていないが、現在までに行った燃焼試験については、大きな燃焼騒音は計測されていない。(2)エンジン内壁に既燃焼高温ガスが壁面に接触しない理由や条件の解明:燃焼室側壁・ヘッド・ピストン表面を含む全ての壁に、燃焼後の高温ガスを接触させないようにできることがわかり、その第一の理由が幾何学的なものであることが解明された。(3)燃焼形態:シミュレーションで、燃焼初期はデトネーションで、後半は火炎伝播になっているであろうと推定される結果を得た。(4)航空機・自動車・定置発電利用を可能とする要件や条件のシミュレーション検討:自動車用では、通常レベルの過給機の併用で、広域で高効率可能との見通しを得た。定置発電用は一点定点運転なので、過給器無で図示熱効率60%以上になる可能性を得た。航空用途では、M>0.5以上で安定した燃焼が可能で、従来型ジェットエンジンと同等かそれ以上の推力が確認され、M>3レベルの極超音速域では、従来型のラムスクラムエンジン以上の推力が実現できる可能性を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)燃焼実験:定常運転試験(動力測定)を実施し、正味熱効率が60%以上になることを確認するとともに、燃焼室側壁に温度センサーを設置して、冷却損失の大幅低減効果を明確にしたい。強制着火装置の有無の影響も調査する。同時に、燃焼騒音レベルを明確にする。また、パルスMHD発電に関するデータも取得したい。なお、実験条件範囲は、0<吸気マッハ数<約1.5、0rpm<ロータリーバルブ回転数<15000rpm、0rpm<ピストンバルブ回転数<5000rpm、外気圧力の10分の1レベル<燃焼室内圧力<外気圧力、大気温度<外気温度<大気温度+200度、10<空燃比(A/F)<200、2<エンジン燃焼室直径/噴流穴径噴流管D/d<6、3~30本程度のパルス噴流群を半球面配置とし、その内の数本を封鎖して軸対称でない場合も実験する予定である。 なお、水素を燃料とした実験研究は、燃料供給系のみを置き換えることによって可能になる。ガソリンの燃焼実験と同様の計測を行って、3つの性能(燃焼性能・騒音性能・エミッション性能)についての知見を得て成立性を評価する予定である。 (2)シミュレーション:シミュレーション研究では、過給器なしで全域、熱効率60%レベル以上になる条件・要件を確認するととともに、最大熱効率が80%程度まで可能であることとエミッションレベルを調査・確認する。 以上の研究によって、自動車・発電・航空用途での成立要件(負圧・過給の程度、マッハ数範囲、噴流本数等)を明確にし、論文などで公開する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
学会発表等に予定していた旅費を節約したため。 次年度の学会発表のための旅費に充てる予定である。
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[Journal Article] Simultaneous attainment of light-weight, high-efficiency, and low noise: by the supermultijet-twister engine working from startup to hypersonic scram mode2013
Author(s)
Ken Naitoh, Mikiya Marui, and Kouichi Ishida, Yoshitaka Sagara, Taro Tamura2, Dai Shimizu, Shouhei Nonaka, Tomoaki Kubota, Taiki Hashimoto, Yoshiyuki Nojima, Masato Tanaka
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Journal Title
AIAApaper
Volume: 2013-3011
Pages: 1-12
DOI
Peer Reviewed
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