2013 Fiscal Year Research-status Report
コンクリート表層品質の簡易全数検査を目指す繰り返し流水試験方法の開発
Project/Area Number |
25630185
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岸 利治 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (90251339)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩城 一郎 日本大学, 工学部, 教授 (20282113)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | コンクリート / 表層品質 / 非破壊検査 / 流水 |
Research Abstract |
コンクリート表面流水試験の効率性を高めると共に,測定者の違いによる誤差を少なくすることを目的に、コンクリート表面に設置してデジタルピペットを固定する治具を作製した。これにより、デジタルピペットとコンクリート面との角度と距離が固定され、測定者間の相違の解消を図った。デジタルピペットとコンクリート面との角度は、30度・45度・60度の3段階で比較検討を行い、最終的に45度を採用した。また、コンクリート表面の微小な凹凸等の影響により、流水を繰り返すと流路が蛇行したり分岐したりすることがあることから、流路を安定させるために、釣り糸に用いるテグスをコンクリート表面に垂らして流水のガイドとする方法を検討した。この方法は流路の安定化に一定の効果があり、ガイドを用いない場合に比べて、複数回の測定を行った場合のばらつきが減少することを確認した。しかし、実構造物における測定を複数回行ったところ、実構造物では室内で作製した供試体に比べてコンクリート表面の凹凸の程度が大きい場合が多く、そのような場合にはコンクリート表面から局所的にテグスが浮いてしまい、テグスが浮いた箇所でガイドとしての機能が部分的に消失して流路の分岐等が生じてしまう場合があることが明らかとなった。そこでテグスに代わるガイドとして、コンクリート表面に鉛筆で平行な二本の直線を罫書く方法を考案した。鉛筆は撥水性を示し、またコンクリート表面に直接罫書くことから、テグスよりもガイドとしての効果に優れることを確認した。しかし、鉛筆の罫書きによりコンクリート表面の凹凸の影響にはある程度対処することは可能となったものの、実構造物のコンクリート表面には微細ひび割れが存在することも多く、そのような場合には、微細ひび割れ部で流水の停滞が生じてしまい、適切な測定が行えないことが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では、コンクリート表面に設置してデジタルピペットを固定する治具を作製し、テグスを用いた流水ガイドの設置により流路を安定化させることができれば、測定者間による測定結果の相違や流水繰り返し時の流路の蛇行や分岐の問題を解決して、安定的な流水試験手法をある程度確立できると考えていた。また、測定手法が確定すれば、実構造物における検証が効率的に行えると考えていた。しかし、実構造物では、室内で作製した供試体に比べてコンクリート表面の凹凸の程度が大きい場合が多く、そのような場合にはコンクリート表面から局所的にテグスが浮いてしまい、テグスが浮いた箇所でガイドとしての機能が部分的に消失して流路の分岐等が生じてしまう場合があることが明らかとなり、テグスに代わるガイドの考案が必要となった。また、新たに考案したコンクリート表面に鉛筆で平行な二本の直線を罫書く方法も、実構造物のコンクリート表面に多く存在する微細ひび割れによる影響を解決することはできなかった。以上のように、必ず時も平滑ではない実構造物のコンクリート表面を対象とした場合の課題が浮き彫りとなり、繰り返し流水試験の試験方法の改良が必要となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
建設後ある程度の年数が経過した実構造物のコンクリート表面には微細ひび割れが存在することも多いことから、コンクリート表面に微細ひび割れが存在する場合でも、ある程度安定した流水を確保して繰り返し流水試験が実施できるように測定方法の改良を行う。微細ひび割れでは流水の停滞とひび割れ中への吸水が生じることから、コンクリート表面の流水が微細ひび割れを渡る工夫について検討を行う。一案として、テグスや鉛筆による罫書きの代わりに、濾紙をガイドとして流水が微細ひび割れを渡れるような工夫を試みる。 一方で、測定精度と簡易手法としての簡便性のバランスを考慮して、ある程度測定精度を犠牲にしつつも、簡易手法としての簡便性に重点をおいた適用方法についても検討する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初、テグスを用いたガイドにより流水の流れを安定化させることを試みたが、表面ひび割れを有する実構造物を対象とした測定において、十分な流れの安定性が得られなかった。そこで、鉛筆により流路を罫書く方法や濾紙を用いてひび割れを和たる工夫を行うなどの手法の改善を行う必要が生じ、予定していた実構造物を対象とした測定を十分に実施することが出来ず、計画していた実験の一部に延期が生じ、未使用額が発生した。 改善した繰返し流水手法の信頼性と適用性を検討するために、1回流水、鉛筆罫書き繰返し流水、濾紙ガイドしよう繰返し流水間の比較や、透気係数や吸水係数などの他の表層品質指標との比較を実構造物を対象として実施するための物品費・旅費・謝金に使用する。また、取得したデータを分析し、判定基準について検討するための謝金に利用する。
|
Research Products
(1 results)