2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25630270
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
西井 準治 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (60357697)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 燃料電池 / プロトン伝導体 / ガラス |
Outline of Annual Research Achievements |
中温域(200℃~500℃)プロトン伝導体の開発は、水素エネルギーの有効活用に必須である。本研究では、大気圧コロナ放電を用いてガラス中へのプロトンの導入に挑戦した。 正電圧を印加した針状アノード極から5~10mm離れたカソード極上にアルカリイオンを含有するガラスを置き、200℃の大気中でコロナ放電処理を実施したところ、アノード側表面から5μmの深さまでのアルカリイオンが等量のプロトンに全置換されOH基が形成されることをIR吸収およびEDSでの元素分析で明らかにした。その後、耐候性に優れたNa2O-Nb2O5-P2O5系ガラス(0.5mm厚)への水素雰囲気中でのコロナ放電処理を行った。200℃以下では、シリケートガラスと同様にアノード側表面から10μm程度の領域にプロトンが導入されるのみであったが、400℃で同様な処理を行ったところ、厚さ0.5mm厚のガラスに対して厚さ方向全域の改質に成功した。しかしながら、EDSによる分析の結果、初期含有量の50%のNa+がガラス中に残留する結果となった。原因は、Nb5+の一部がNb4+に還元され、電子のホッピング伝導が優先したためであると考えられる。したがって、還元されにくい元素で構成されるガラス組成の開発が必要であることが分かった。 一方、1mmの間隙を設けた2枚のガラスに対してコロナ放電処理を行うと、上層から下層へとアルカリイオンが移動することを発見した。上層のガラス裏面からはじき出されたアルカリイオンが、そこに停滞せず下層ガラス側へ移動したと考えられる。この結果は、ガラスがカソードと接触していなくても、ガラス中のアルカリをプロトンに置換できることを意味し、非接触でガラス薄膜中のアルカリイオンをプロトンに置換できることを示唆しており、コロナ放電が薄膜固体電解質の作製に有望であることが明らかになった。
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