2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25630409
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
武田 邦彦 中部大学, 総合工学研究所, 教授 (80255645)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 江梨香 中部大学, 総合工学研究所, 博士特別研究員 (70708932)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 死の谷 / 海洋バイオマス / 二酸化炭素 / 大量生産 / 高濃度溶解 |
Research Abstract |
本研究の目的は藻類の大量培養の基礎研究とそれを工業的に実施する開発とを有機的に接続し、基礎研究の実用化を阻むいわゆる「死の谷」を克服する具体的な方法を提案することである。初年度は申請時の計画にそって、まず高濃度CO2を高度に活用する技術を完成するために必要とされる基礎的データの集積を行った。 既存のバブリング(液体に気体を溶解)方式ではなく、無気泡溶解装置を用いて装置内に気体を充満させ、加圧状態の中に液体を通過させ溶解させる方法を用いて二酸化炭素を溶解させた場合、約6倍の水中に溶解させることができ、高効率で低コストで溶解させることに成功した。次に、鹿児島大学前田研究室から提供して頂いた微細藻類(スピルリナ)のラボスケール培養を行った。二酸化炭素を任意の比率で空気に混合させ100μmol/m/sの光量(明:14h、暗:10h)、で培養させた場合(明期のみ二酸化炭素を投入)、10%CO2濃度が一番成長が良く、空気のみでの培養に比べ、約4倍の成長量と炭素固定量であった。CO2分圧10%以上ではpHが8.5以下となっており、著しい成長は見られなかった。また、培養前後の微量元素量の測定結果から従来の窒素、PのKの律速により成長が止まったとは考えられず、Mg、Mn、Feが律速し、成長が止まったと考えられる。また、本年度は6種類の波長の異なるLEDを用いて光の波長と微細藻類の生長への影響を検討したが、単独波長における藻類の生長促進効果は見られなかった。また赤、青、緑の混合波長LEDでそれぞれの波長の光強度を変化させたが、成長量に優位な差は見られなかった。しかしながら、青色(460nmの単独波長では、約2日で藻類が死滅した。 一年目は、屋外での循環型培養槽を念頭に、おおむね次年度に行うプラントでの培養に必要な(ラボスケールでの学問の壁を越えた)基礎的データが得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね、藻類の大量培養の基礎研究データの集積は完了した。 水産学、植物学、工学などの学問の壁を越え、屋外での循環型培養槽を念頭におき、基礎的データの集積を行った結果、低コストで高効率に高濃度二酸化炭素の溶解に成功し、二酸化炭素投入による藻類の増殖が見られ、波長と光量によるスピルリナの成長への影響が明らかになった。 次年度はこれらの知見をもとに単位面積当たりの光培養効率を整理しながら、スケールアップ時におこる学問と産業の壁を越えた体系的研究を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
菌類、微細藻類の培養装置とそのシステム、すなわち、気液混合体、CO2の溶解方法の選定とその効率、CO2と弱アルカリの中和効果の理論、微細藻類の成長を促進させる最適な光量を研究者協力者とともに模索する。中型規模の培養では、小規模プラント装置の設計に必要となる知見を得る。またこれまで研究してきた中型藻類に加えて、より微細藻類を生産する方法を検討し、微細藻類の回収には、平成25年度の研究で着想を得た、絡み合い回収方法などを中心として、エネルギー効率の良いシステムの構築の設計を実施する。凝集操作には、琉球大学小西准教授のモズクから作られた凝集剤を利用することにより、食用利用を視野に入れた回収を研究する。 本研究は1年目に具体的な研究課題に取り組みつつ、次世代の技術を工業化するときに生じる問題についての基礎的知見を得たので、それをベースにして俯瞰的、総合的、論理的研究を行う。すなわち、基礎研究を発展させるときに障害となる問題はすでに多く指摘されているが、それらの経験を活かして具体的な成功ルートを作る必要がある。アメリカでは積極的な期限付きプロジェクトによって成功に導く方法があり、また開発途上国は逆に決定が速く、トライアンドエラー方式を採用している。成熟し産学の間の問題点が多い日本における実現可能な方法を提案することをこの研究のもっとも重要な課題としたい。 なお、研究協力の関係者は産学に広く求め、アメリカシカゴ大学山本教授(中島研究員)、中部大学持続性研究会(金澤客員教授、文理融合)、同大学行本研究室(機械工学)、琉球大学瀬名波研究室(流体工学)、鹿児島大学前田研究室(海洋学)、高知大学平岡研究室(海藻学)、一般社団法人海洋環境創生機構(理事として参加)、日本電気株式会社(沖縄など)、株式会社大栄製作所(気体溶解)、株式会社富山環境整備(廃棄物処理、環境プラント)である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品の値引きにより次年度使用額が生じたため 26年度の購入予定消耗品費と合わせて使用する。
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Research Products
(4 results)
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[Book] Volume4:Environment and Sustainable Development in Asia2014
Author(s)
Jieli Li and Toby Li, Carly Mercer and Stephen J.Scanlan, Upendra Choudhury, Ann R.Tickamyer, Siti Kusujiarti, and Emily J.Wornell, Huiyang Yu,Lisheng Dong, and Shiyou Wu, Kunihiko Takeda and Erika Nakashima, Margaret Chan Kit Yok, Kathleen Gillogly, Zhihua Zhou, Md Saidul Islam and Quek Ri An, 他3名
Total Pages
261(107-128)
Publisher
World Scientific Publishing Co.Pte.Ltd.