2013 Fiscal Year Research-status Report
核酸アジュバントを用いた新しい誘導型局所自然免疫活性化機構の開発
Project/Area Number |
25640084
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高岡 晃教 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (30323611)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 自然免疫活性化 / 核酸アジュバント / 放射線照射 / 抗腫瘍効果 |
Research Abstract |
有効なワクチンや抗腫瘍治療を実現するには,アジュバントの存在は大変重要である.しかし,これまでのアジュバントは全身性に強い免疫応答を引き起こす副作用が起こすことなどの問題がある.そのため,局所に強力なアジュバント活性を誘導できる有効なアジュバントの開発が強く求められている.そこで本研究では,これまで我々が行ってきた自然免疫での核酸認識の研究を生かし,特に強力な自然免疫応答を誘導する核酸に着目し,放射線照射部位局所に自然免疫応答を誘導できるswitchableな新しいタイプの核酸アジュバントのデザイン開発を提案したい.このことは,単に副作用の少ないアジュバント作製のみならず,放射線照射を行うことで腫瘍抗原の顕在化も狙ったものであり,より効率のよいがん免疫の活性化を目指して考えられたこれまでにアジュバントには提案されたことのないアプローチである. 光核酸マニピュレーション技術を用いて新規核酸アジュバントをデザインし化学合成した.作製された新規核酸アジュバントが,我々が期待するような性質を持ちうること,すなわち「不活性型核酸」においては自然免疫応答活性を有していないが,放射線照射後に変換されると予想される「活性型核酸」は,自然免疫応答活性が起きることを確認した.しかし,現在作製した新規核酸アジュバントは,放射線照射による構造変化が非常に低い効率で生じていると推測されるため,現在デザインの変更を行っているところである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規核酸アジュバントとして,C型CpG配列の中央部に,Cystamine修飾シトシンを組み込んだ後、酸化させジスルフィド結合形成によりこのオリゴ核酸を2量体化したものを作製した.合成されたCpG DNAがデザインしたものであるかを,変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動法やNMRスペクトル,質量分析のスペクトル解析により確認した.次にX線照射によって効率良く開裂するかについて,新規核酸アジュバントにX線照射を行い変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動法にて調べたところ,非常に効率が低いものの開裂することが確認された.さらに,放射線照射前の新規核酸アジュバントを用いてRaw264.7細胞を刺激し,定量的RT-PCRでIFN-b, TNF mRNAの発現を調べたところ,自然免疫活性化能を有しないことが確認された.一方で,放射線によって開裂すると予想される核酸は,同様の実験系で自然免疫活性化能を有することが明らかになった. 今後は,より効率よく開裂する新規核酸アジュバントの作製を行う予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
現在作製した新規核酸アジュバントは,放射線照射による構造変化の効率が非常に低いため,より効率よく開裂するように,新規核酸アジュバントのデザインを再設計し,合成を行う.まずはじめに再設計した新規核酸アジュバントが期待されるような性状であるかについて,検討する.期待されるような性状を有する場合には,この新規核酸アジュバントの自然免疫活性化能について調べる.さらに放射線照射によってswitchingが可能かについて調べる.一方でこの新規核酸アジュバントによる自然免疫応答メカニズムについて明らかにする予定である.さらに時間があれば,マウスに腫瘍細胞を移植し,この新規核酸アジュバントを用いた抗腫瘍効果についてin vivoで検討を行っていきたいと考えている.
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