2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25650082
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
太田 訓正 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 准教授 (90244128)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | リプログラミング / 乳酸菌 / 多能性 |
Outline of Annual Research Achievements |
乳酸菌は糖を分解して乳酸を生成する細菌類の総称であり、自然界に広く分布し、ヒトの腸内では善玉菌として健康の維持に働く。乳酸菌には腸の働きをよくするだけでなく、アレルギーを抑え、細菌やウイルス、癌に対する抵抗力を高める力があることから、腸内細菌は「現代医療のトップランナー」と言われるほど未知なる可能性を持っている。しかしながら、乳酸菌の細胞への直接的作用機序はほとんど明らかにされていない。 申請者はヒト皮膚細胞に乳酸菌を取り込ませると、アルカリホスファターゼ染色陽性の細胞塊が形成され、リプログラミングの誘導がおこり、3胚葉由来の細胞に分化できる多能性細胞が作製できることを報告した(Ohta et al., 2012)。その後、申請者は乳酸菌によるヒト皮膚細胞(Human Dermal Fibeoblasts: HDF)のリプログラミングの条件をさらに解析した。その結果、HDF細胞に死菌を取り込ませると、HDF細胞は細胞塊を形成し、多能性を獲得した。また、細胞破砕液でも同様の活性があることを確認した。 本申請では、細胞塊形成能を目印にクロマトグラフィー(FPLC)とLC-MS/MS解析を組み合わせて行い、乳酸菌由来のリプログラミング誘導物質の同定に成功した。このリプログラミング誘導物質をHDF細胞に作用させると、乳酸菌を用いた時と同様に細胞塊を形成し、これらの細胞塊は脂肪細胞、骨細胞、神経細胞などへと分化した。今後は、乳酸菌由来のリプログラミング誘導物質がどのようにして細胞内に取り込まれ、どのようにして宿主であるHDF細胞の遺伝子発現に影響を与えるのかを分子レベルで解析を行いたい。
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