2013 Fiscal Year Research-status Report
資源スペシャリストとジェネラリストを繁殖干渉により統一的に説明する
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25650150
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
西田 隆義 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (60208189)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 繁殖干渉 / 側所分布 / すみわけ / 植食性昆虫 |
Research Abstract |
同じ寄主植物を利用しすみわけをしているオオニジュウヤホシテントウとニジュウヤホシテントウにおいて、分布境界と繁殖干渉の有無について調べた。 滋賀県北部における分布境界は、余呉湖の東にあり、気候変動による約1度の年平均気温上昇にもかかわらず従来の分布境界とほぼ同じままであった。 一方、繁殖干渉については奇妙な結果が得られた。同種ペアに対して異種オスを導入してメスの繁殖成功を測定したところ、繁殖成功の低下はみられなかったり、あるいは逆に増加する場合もあった。これに対して、メス一匹に対して異種オス一匹を同居させると、繁殖成功は著しく低下した。これらの結果は、(1)同種のオスメス間にも性的対立があり、オスはメスの繁殖成功を低下させる、(2)異種オスの導入は種内の性的対立を緩和させる可能性がある、および(3)異種オスはメスの繁殖成功を著しく低下させる、と仮定するとうまく説明できることが分かった。 以上の結果を総合すると、2種が厳密な分布境界をはさんで側所分布する現象は、繁殖干渉説でうまく説明できる可能性が高いと判断できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
繁殖干渉の実態については予想どおりであったが、オス同士にも繁殖干渉の効果がある可能性が検出できたことは予想外であり、今後の進展が期待できる。 分布境界の調査については、予想よりも進展していない。その理由は、オオニジュウヤホシテントウの分布域ではシカによる食害が著しいために、耕筰放棄地が目立ち、調査が難しい場合があったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
繁殖干渉については、オス間の配偶をめぐる相互作用に着目し、因果関係の解明をめざす。検証する仮説は、「異種のオス間には配偶認知の誤認を通じた求愛行動が生じ、これがメスに対する繁殖干渉の影響を低下させる」というものである。これにくわえて、他のマダラテントウ類(ヤマトアザミテントウ、ルイヨウマダラテントウなど)も調査対象に加えたい。 分布境界については、鹿の食害がひどくない地域を選んで、調査地を福井、岐阜、長野、山梨などにも拡大したいと考えている。
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Research Products
(2 results)