2014 Fiscal Year Annual Research Report
資源スペシャリストとジェネラリストを繁殖干渉により統一的に説明する
Project/Area Number |
25650150
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
西田 隆義 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (60208189)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 繁殖干渉 / 食植性昆虫 / 寄主植物 / マダラテントウ |
Outline of Annual Research Achievements |
マダラテントウ類に属する近縁種、ニジュウヤホシテントウ、オオニジュウヤホシテントウ、およびヤマトアザミテントウについて、野外での分布状況の調査を行うとともに、実験室において繁殖干渉の状況を調査した。ニジュウヤホシテントウとオオニジュウヤホシテントウの分布境界は、滋賀県北部の余呉町付近にあった。過去の研究結果(新保1975)と比較したところほとんど分布境界は動いていなかったことが2年間ともに確認された。新保(1975)による研究当時と比較すると、温暖化により年平均気温はほぼ1℃上昇していたが、分布境界がほとんど移動しなかったことから、分布境界は温度により単純に決定しているのではないことが確認された。岐阜県における調査ではオオニジュウヤホシテントウの分布南限は美濃市以南であることも明らかとなった。ただし、鹿による食害が急速に進行したことにより、食草であるジャガイモの栽培が山間部で激減し、マダラテントウ類の分布調査は山間部では著しく困難な場合が多かった。 繁殖干渉については、オオニジュウヤホテントウとヤマトアザミテントウの間で実験を行い、強い繁殖干渉があることが分かった。さらに同種内においてもオスの存在はメスの産卵数を低下させることが明らかとなった。すなわち、種内で生じる性的対立が、近縁種間ではより強まることにより強い繁殖干渉が生じることが示唆された。前年度に行った研究により、ニジュウヤホシテントウとオオニジュウヤホシテントウの間にも繁殖干渉が相互にあることが示唆された。以上のことから、マダラテントウ類には繁殖干渉が広く存在する可能性が示唆され、それが寄主植物や生息場所の隔離に繋がる可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)